他愛ない「タラレバ娘」、ヤバイのは「タラレバ上司」
人気ドラマ『東京タラレバ娘』では、題名通り、吉高由里子らが演じる主人公の3人のアラサー女性が「あのとき~~していたらよかった」という過去の後悔や、「~~すればうまくいくのに」といった根拠のない願望話のセリフが盛んに出てくる。
主に恋愛関連の他愛のないグチ話が視聴者の共感を呼んでいるようなのだが、もし、設定が会社の人間関係だったら、笑えない陰湿な感じになるかもしれない。
たとえば、上司と部下の間の関係。昔から両者間でのタラレバ話はあったが、企業で働く人々の取材をしていると最近はどうもタラレバ被害者が増えているように思う。
こんな事例だ。
ある営業課長が部下に、○日までに顧客向けの企画書をまとめておくように指示したとする。課長は期限が近づいても部下から途中経過の報告がないので気になって、例の企画書は大丈夫かと聞くと「大丈夫です」と答える。
ところが、期限ギリギリになって部下が仕上げた企画書は課長の思い描いたものとはかけ離れていて、大騒ぎ。やり直しを命じたいが時間がない。
そんなちょっとした修羅場で交わされる会話において、しばしば出てくるのが、「タラレバ」である。
「今からじゃどうしようもないよ。事前に相談してくれたらよかったんだ」
「でも課長は忙しそうだったので。課長のイメージと違うんだったら、最初にもっと詳しく説明してくれればよかったじゃないですか」