「東京タラレバ上司」の傾向と対策
タラレバが口癖の人は肩書の有無に関係ないが、とりわけタラレバ上司の存在は職場を混乱させる。要するに部下に的確な指示や説明をしないコミュニケーション不足に原因があるのだが、そういう上司には共通する特徴がある。
1つは上からの指示を自分でかみ砕いて説明することなく部下に仕事を丸投げするタイプである。
それほど能力があるわけではないのに、役員などの幹部の覚えがめでたいせいで管理職に昇進した人に多い。上には絶対的に忠実であり、「部長がそう言っているのだからそうしろ」と、面倒くさいことは全部部下に任せようとする。
本来なら部長の指示を具体的プランに落とし込んで部下に的確な指示をするのが役割だが、そこまでの能力がないか、あるいは自分が責任をとりたくないために回避しようとする。そして結果が出せなかった部下をタラレバでなじることになる。
もう1つは、成果を出したかはあやしいが、真面目で一生懸命に働くことが取り柄で課長になったタイプだ。
この手は、理解する力は多少あるものの、完全なコミュニケーション下手。部下に仕事を振るときは時間をかけて説明するのだが、話がいろんなところに飛んで何を言っているのかさっぱりわからない。
具体的に何をやればいいのか今ひとつわからないが、課長が一生懸命なので部下はわかったふりをして仕事を遂行しようとする。
だが、それでは仕事がうまく運ぶことはない。間違った仕事をした部下に「あれほど説明したのになぜ言うことを聞かないのか」「指示通りにやっていれば、こんな結果にならなかったはずだ」と、真面目だけに熱心にもタラレバを繰り返すことになる。
こんな2つのタイプの上司に対抗するには、発言した内容に徹底的に食い下がることだ。説明がなければ、こういうことですかと逐一確認し、具体的な言質をとる。後で言った、言わないということがないように記録を残す、あるいは職場のチームで情報を共有しておくことが必要だ。
とはいえ、こういう上司が存在する率が高まれば高まるほど、その組織は成果を生み出すことは難しいに違いない。
ドイツ陸軍の参謀総長だったハンス・フォン・ゼークトは言っている。
「無能で怠惰な者は下級兵士にすべき、無能で勤勉な者は銃殺せよ」
いずれにしても無能なタラレバ上司は管理職失格であることは間違いない。