残業時間の上限規制の影響でサービス残業が横行する?

残業時間の上限規制に関する政府案の骨格が決まった。

現行の労使で結ぶ協定(36<サブロク>協定)の限度時間である月45時間、年間360時間を法律に明記し、これを超えた場合は罰則を課す。

さらに、特例として労使で協定が結ばれることを前提に、年間の残業時間の上限を720時間とする。その範囲内で月45時間を超えるのは6カ月までとし、繁忙期は「2~6カ月の平均で80時間を超えない」かつ「きわめて忙しい1ヶ月の上限は100時間未満」とする歯止めをかけることになった。

99時間ならOKというのは納得いかないという声も大きいが、残業時間が年間720時間を超えた場合に限らず、1カ月100時間超、2カ月や3カ月平均でも80時間を社員が1人でも超えた場合、確実に摘発・送検される絶対的な上限規制になる。この部分は評価に値するだろう。

上限規制の趣旨は、労働者の健康確保にあるが、企業にとっては摘発・送検されると、公共事業の発注中止に追い込まれるなど社会的信用を失うだけに絶対に避けたいところだ。今以上に残業規制を厳しくしてくるだろう。

そのこと自体は労働者とすれば歓迎すべきことだ。

だが、実は規制強化によって別の懸念が噂されている。建設関連企業の人事担当者は「上限規制で残業制限を厳しくすれば、社員は陰に隠れて早出して仕事をするとか、家に持ち帰ってやるなどサービス残業をやってしまう者が出てくるかもしれない」と不安を打ち明ける。