同僚や電話に気兼ねせず、静かに仕事に集中できる。しかも夜と同様、残業手当がもらえるなら、言うことなし……!?

朝残業は、時間外手当の対象になる

(PIXTA=写真)

「やっぱり朝のほうが効率的。人口密度が低いし、静かだし。まあ、僕が朝強くて夜弱いっていうのもありますけど」――朝7時半に出社して溜まりがちな仕事を片付けるという大手電機営業部門の塚本武司氏(仮名、40歳)。自宅を6時半に出て、都内のオフィス街の本社まで約1時間。近隣のエクセルシオールカフェで朝食を済ませてからオフィス入りする。

「朝は昼の1.5倍の仕事をこなせるといいますが、その通り。電話もかかってこないし、プリンターも気兼ねなく使える。夜は主に社外の人と会います」

今年4月から管理職に昇格し、今は残業代はつかない。が、それでも長年続けている「朝残業」をやめるつもりはない。これまでに朝の残業分を会社側に請求したことがないという。このご時世、どんなはした金でも貰えるものは貰っておきたいものだが、波風を立てたくないというマインドはやはり根強い。

「社内の給与の仕組みにあまり詳しくなくて……。でも、今さら昔の残業代を請求する気にはなれませんね。ケンカして辞めるならまとめて請求するかも」

逆に、高橋美緒氏(仮名、45歳)は「早く帰りたいし、夜よりも朝残業のほうがお得」とはじいて出社は朝6時。同じく都内にある準大手食品の本社まで約30分かけて通勤。

「頑張らないと5時に目が覚めない。前の晩は起きなきゃ!と興奮して眠れない(苦笑)」

“朝のほうがオトク”なのは、夕方17時半から18時が残業としてカウントされない「魔の休憩時間」(高橋氏)だから。

「数年前までは8時50分出社、18時退社だと、朝は勝手に切り捨てられて朝9時から、夕方は休憩タイムのため17時半まで……とカウントされてました。18時10分退社なら10分はついたんですけど」

“魔の時間”は今も残るが、朝時間の端数が切り捨てられることはなくなったと高橋氏は言う。このあたりは企業や部署によって勘定の仕方は異なるが、毎日のように始業時刻より30分、1時間早く来ていれば、合計するとかなりのボリューム。認められれば、金額は小さくない。