“ヤミ残業”がまかり通り、給料も減る悪夢

東京商工リサーチが企業に対して実施した「『長時間労働』に関するアンケート調査」(2017年3月10日)では「残業時間の上限が決まり、現在より労働時間が短縮する場合に予想される影響とは何か」を聞いている(複数回答)。

大企業の回答の上位2項目は、

「仕事の積み増しが発生する(31%)」
「持ち帰り残業が行われる懸念(16.7%)」

となっている。そのほか「従業員の賃金低下(11.1%)」にも影響すると回答している。

つまり、残業時間が減れば、仕事の積み増しが発生する。その分を持ち帰り残業というサービス残業でカバーするが、残業代が出ないので社員の給与が減る――。

というふうになると解釈できる。

もし予想通りになれば“ヤミ残業”が横行し、給与が減らされた上に心身もへとへとという健康確保とは正反対の結果になりかねない。

こうした事態に巻き込まれないために、自分の身は自分で守るしかない。

一番やっかいなのは持ち帰り残業だが、おそらく自宅での仕事の時間を残業時間として申請する人は少ないだろう。

一般的に、上司が労働時間では処理できない業務量を部下に指示していた場合や、終業時間前に上司から「明日の朝までにやってくれ」と言われ、持ち帰り残業を黙認していた場合は、事実上の指揮命令があったとして労働時間と判断されるだろう。

こうした状態が頻繁に続くようであれば、思い切って「持ち帰りで仕事をした分も申告していいですか」と勇気を持って上司に確認することだ。それでも聞き入れられない場合は、上司に命じられた仕事の内容とそれにかかった自宅での労働時間を記録しておこう。もしも2カ月程度続いた場合には、労働基準監督署に相談する。

労働基準監督官はあなたの会社の残業時間の記録が80時間以内に収まっているとしても、持ち帰り残業が常態化していると判断すれば、調査に乗り出すはずだ。