SMAP解散に見る「40代」の限界と現実
そのひとつの要因は、社員の高年齢化である。
大手企業では40歳以上の社員が全体の半分以上を占めるところも珍しくない。じつはSMAPの解散劇は企業が抱える40代社員の活性化問題にも通じるものがある。
40代社員を多く抱えるIT企業の人事部長はこう吐露する。
「新たにコンサルティング営業部門を設置し、社内公募にかけたところ手を挙げる40代の社員が非常に少なかった。とくに当社の主流の製品開発や営業部門の社員の多くは『今さら新しい仕事を1からやるのは面倒だ』と言って敬遠する。しかたなく指命してやらせることになったが、モチベーションを上げるのに苦労している」
40代と言えば、サラリーマン生活20年を経た折り返し地点でもある。今後の昇進も含めて大体先が読める世代である。会社側はまだまだ貢献してほしいが、本人は今さら新しい仕事に挑戦して失敗などしたくないし、今のままでよいと思ってしまう人もいる。残りの職業人生をどう生きていけばよいのか一抹の不安がよぎる微妙な年齢でもある。
ご存知の通り、SMAPのメンバーも44歳の木村拓哉と中居正広を筆頭に全員が40代(香取慎吾は1月31日で40歳)である。
グループの活動を20年以上続けてきた結果、それぞれの思いが別の方向に向かい、中にはマンネリ感を感じているメンバーがいたとしても不思議ではない。
もちろん一般のサラリーマンと違い、すでに一生働なくてもよい貯金があるだろうから今の仕事に固執する理由もないが、グループの今後や自分の将来について何らかの不安を感じていた可能性はある。
そして、結果として最悪の解散という形で終わった。
本来であれば過去を振り返り、今後の活動をどうしていきたいのか、ゼロベースで個々の意見をぶつけ合うべきだっただろう。
ファシリテートするチームリーダーがいれば、何らかの歩み寄りもできたかもしれない。あるいは彼らの中に確執があったとしても、事務所は個々の思いを共有し、惹きつけるようなビジョンや戦略を示すことに全力を傾けていれば再スタートできたのかもしれない。