昨年、米アパレル通販サイト大手のザッポス・ドットコムが、管理職や役員などすべての階級を廃止すると発表して話題になった。このように、従来のヒエラルキー型組織とは対照に、役職をなくし、組織全体に権限を分散させ意思決定させることで組織を統治するシステムのことを「ホラクラシー」という。
2007年に米国の起業家、ブライアン・ロバートソンが提唱したこのホラクラシーには、出世の概念がないため、上下関係にとらわれず、柔軟なチーム編成で、自分の得意分野に特化してパフォーマンスをあげることができる。国内でホラクラシーを導入しているアトラエの代表取締役・新居佳英氏は、組織をサッカーチームになぞらえ、「選手は役職などなくとも強烈なリーダーシップを発揮したり、声をかけ合いながら練習したり、試合に臨んでいるが、まさにそういうこと」と話す。
ただし、抵抗を感じる従業員も多く、ザッポスでは従業員の14%がホラクラシーになじめず退社したという報道もある。「多くの日本企業は導入が極めて難しいと思うし、製造業など社員のビジネスレベルにばらつきが多すぎる業界では、逆に非効率になるのでは」(新居氏)。
自社を“少数精鋭の企業”と見せるには良い策かもしれない。
(大橋昭一=図版作成)