いままでの仕事のやり方を組織ぐるみで大きく変える必要がある場合、まず注意すべき点はなにか。企業変革の達人、ラリー・ボシディの著書をひもときながら、「企業文化」の大切さを再確認したい。

企業の幹部が、重要な新しい仕事をまかされたとしよう。 それはたとえば、会社が新市場に進出したり、世界市場に打って出るという新しい競争戦略や、注文ミス、予算超過などの慢性的な問題の解決といったものだ。

こうしたプロジェクトの目標は明確だとしても、それを達成するための戦略はどうだろう。多くの場合、あまり明確ではない。事実、『いま、現実をつかまえろ!――新世代・優良企業のビジネス法則』の著者(ラム・チャランとの共著)、ラリー・ボシディによると、大規模な変革プログラムのほとんどが失敗に終わり、しかもその多くは始まってまもない時期に失敗する。それは幹部がいくつかのよくある誤りを犯すためだ。

リーダーのなかには、自分の部署の文化には大きな変革を受け入れるのに必要な柔軟性と開かれた意識があると思い込んでいる者がいる。このようなリーダーは指揮下の部署に変革を押しつけて、その結果、頑強な抵抗にあい、結局失敗を招く。

変革のメリットを明確に説明する作業を怠るリーダーもいる。「変革プログラムの目的を理解していなければ、人々はそれに自分の時間とエネルギーを投じることに疑問を抱く」と、ボシディは指摘する。

変革が進行している間はその重要性を絶えず伝えなければならないということを理解していないリーダーもいる。その場合、変革プログラムは迷走するだけに終わってしまう。こうした誤りを避けたいと思うなら、次の点に留意する必要がある。