組織の文化を見極める
変革を実行するにあたっては、事前に自分の部署や会社の文化を慎重に評価する必要がある。「コンサルタント、顧客、サプライヤー、会社の元幹部など信頼できる人に、会社の文化が変革を達成できると思うかと尋ねよう」と、ボシディはアドバイスする。外部の意見が有益なのは、「なかにいる人間はその組織の文化をありのままにではなく、自分が見たいように見てしまうからだ」。
組織内にいる人々からも、彼らが自分の組織の文化をどのようにとらえているかを引き出そう。「あなたはこの部署の(あるいはこの会社の)何が気に入っていて、何が気に入らないか」というような質問をぶつけてみるのである。あなたの部署や会社の最も切迫した問題を引き起こしている原因についても、意見を求めてみよう。たとえば「製品を発売するまでになぜこれほど時間がかかるのか」とか、「受注入力のミスがなぜこれほど多いのか」といった問いを投げかけるわけだ。答えのなかに、組織が変革に対する柔軟性や開かれた意識をどの程度、備えているかを示唆するものが含まれていないか注意して聞こう。
「多くのリーダーが現実を否認しているため、このような質問を投げかけようとはしない」と、ボシディはいう。「彼らは心の奥底で、この組織の文化は変えられないと思っている」ので、それを診断するのは時間の無駄だと決めつけるのだ。
文化の評価を終えたら、それに基づいて、自分が考えている計画が抵抗なく受け入れられるかどうかを判断しよう。
いまの組織文化がこれから始めようとしている計画と相性が悪いのであれば、調整が必要だ。「なぜ変革が必要なのかを、説得力のある言葉で説明しよう」と、ボシディは主張する。小さな変革を通じて弾みをつけるというやり方は、とくに効果的だ。小さなプロジェクトで成功すれば、チームのメンバー1人1人が自信を持ち、それによってリーダーはより複雑な変革プロジェクトを開始できるのだ。
たとえばボシディは、アライド・シグナル(後にハネウェルを買収し、そちらの名前を社名に採用した)のCEOを務めていたとき、シックスシグマを導入するため、難易度が徐々に高くなる複数プログラムを実施することで、同社の文化を変えることに成功した。