時間とエネルギーを投入しよう
変革を成し遂げてしばらくすると停滞期に入ることがある。目新しさが消えるにつれて、人々のエネルギーや情熱も衰えるからだ。「最初に演説をぶって、権限を委譲するだけで済ませるわけにはいかない」と、ボシディはいう。「変革プロジェクトを率いるためには、強い関心と熱心な関与、それに途方もない時間と肉体的・精神的エネルギーが必要なのだ」。
リーダーはプロジェクトに絶えず新しい息吹を吹き込まなければならない。たとえばボシディは、アライド・シグナルにシックスシグマを根づかせると、新世代の黒帯級(シックスシグマの理念や原理を説明できるレベル)の人材が確実に育成されるよう取り計らった。
実行の重要な節目に到達したことを祝うのも効果的だとボシディはいう。「年度末や四半期末にパーティを開いて、プログラムの実行に対する人々の貢献を認め、報奨を与えよう」。
感謝の気持ちを常にメンバーに伝えるとともに、それまでに成し遂げた変革の成果を数値で絶えず示すのだ。
前任者の大規模な変革プログラムを引き継ぐ場合には、まずそのプログラムのよしあしを見きわめよう。「よいものなら継続すべきだが、それに独自の味付けを加えてほしい。新しい切り口を探して、人々をあらたな気持ちで取り組ませるなにかを持ち込もう」と、ボシディはいう。
能力のある実行チームをつくる
プログラムを実行するのに適切なチームをつくることは、変革リーダーの最も難しい、だが最も重要な責務だと、ボシディはいう。たとえば、あなたが自分の部署に新しい顧客関係管理システムを導入しようとしているのだとすると、顧客重視の強い意識に加えて、技術に対する認識や知識も持っている人たちを実行にあたらせなければならない。
また、実行チームに他の部署の人間を何人か参加させる必要がある場合には、それらの部署のリーダーからの抵抗を覚悟する必要があるだろう。彼らの多くが優秀な人材を「外部の」プロジェクトに奪われたくないと考えるからだ。「これらのリーダーの仲間意識やチームワークを大切にする気持ち、また会社を誇りに思う気持ちに訴えよう」と、ボシディはいう。「あなたが彼らを頼りにしていることを理解させよう。彼らがその有能な社員を永久に失うわけではないことを納得させ、彼らが部内の職務分担を変更する手助けをしよう。いずれにしても、彼らの抵抗のためにプログラムが行き詰まるような事態を許してはならない」。