なぜ一流の人は、多忙を極めても余裕があるのか。その違いは、脳と心の使い方にあった。精神科医と心理学のプロが教える。
休憩時間はとにかく歩き回るのがいい
ハードな仕事の合間には、ぼーっとして脳を休ませるのがいいように思える。だが、実際はそうではないと精神科医の西多昌規さんは言う。
「なにも考えずぼんやりしているときでも、人間の脳は重要な活動をしていることが最近の研究でわかりました。これはデフォルトモード・ネットワークといって、自動車で言うならアイドリング状態。この活動に費やされている脳エネルギーは、意識的な作業中の20倍にも相当するといわれます」
すなわち、脳のエネルギー消費だけで比べれば、休憩中は同僚としゃべったり、読書をしたりするほうが負荷は少ないことになる。
「とはいえ、ぼーっとしたいときもありますから、無理に何かをする必要はありません。目は疲れますが、ネットのコミュニティサイトを覗くのが息抜きになるならそれもいい。もし、脳を休めたいのであれば、眠るしかありません。ただ、電車内でもない限り、仮眠を取るのは難しい。それに夕方に仮眠を取ると夜眠れなくなるので注意が必要です」
愛煙家なら喫煙ルームで一服となるだろうが、西多さんによれば、これには意外な効果があるという。
「タバコを吸うとリラックスできるうえに、ニコチンによってドーパミンの働きが活性化されて、集中力がアップします。野球やゴルフの選手に喫煙者が多いのはそんな理由もあるのでしょう。ただ、喫煙は健康上よくないのは紛れもない事実ですから、お勧めはできません」
一方、心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんは休憩タイムには歩くのがいいと話す。
「オフィス内でも外でも構わないのですが、とにかく歩き回る。おかしな行動に思われないためには、他の部署に書類を取りに行くなど、なにか所用が欲しいところですが。歩いていると目を休めることができますし、気分転換にもなる。椅子から立ち、体操をするのでも構いませんが、いずれにせよ、デスクに座ったままより体を動かしたほうが休息の効果は高まると思います」