なぜ一流の人は、多忙を極めても余裕があるのか。その違いは、脳と心の使い方にあった。精神科医と心理学のプロが教える。

ストレス解消できる趣味が長続きする法

今の時代、「仕事が趣味」なんて嘲笑されるのがオチ。仕事のストレスを発散するためにも趣味は持ちたいが、なにをするのがベストだろう。

「スポーツやものづくりをするイメージがありますが、それほど大上段に構えなくてもいいと思います。私もたいした趣味はありませんから。たとえば、コーヒーを飲みながら新聞を読むとか、おいしいものを食べにいくなど、楽しいことや気晴らしになることがあれば十分でしょう」

とは精神科医の西多昌規さんからの答えだ。

一方、心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんは、自然に触れられる趣味を勧める。

「そもそも野生の動物は、ストレスに非常に弱い。それは自然界にストレスの発生源が少ないため。だから、耐性が低くても生きていけるのです。実際、野生の動物を人工的な環境に置くと繁殖しなくなり、死んでしまうこともある。逆に、人間はストレス耐性が高いので、人工的な環境でも生きられるのです」

キャンプや山登りといったアウトドアレジャーだけでなく、美しい景色を写真や絵として残すなど自然に触れる趣味はいろいろあるはずだ。

対して、人工的な趣味の最たるものがインターネットやゲームだろう。休日に1日中、画面に向かっていたら、健康によくなさそうだが、実際はどうなのか。西多さんは言う。

「ほどほどにやるなら気晴らしにはなるでしょうが、1日中、睡眠時間を削ってまでしているとなると問題です。目が疲れるのはもちろん、ネット依存の状態になると昼夜が逆転するなど生活のリズムが崩れて健康を害します。ただ、インターネットは仕事と結びついているので、時間を決めてセーブするのは難しい。SEなどコンピュータ関連の従業者は、精神科にかかる率が高いのも事実ですが」

職業柄、パソコンに向かう時間が長い人こそ、プライベートでは自然の中で過ごせるような趣味を持つべきといえるかもしれない。