ネットの文明が成熟する中、次第に明らかになってきていることがある。それは、人々の「可処分時間」がますます貴重なものになってきているということ。

テレビやゲーム、そして携帯やインターネット。さまざまなモノやサービスが、人々の限られた一日をめぐって、「覇権争い」をしている。そんな中で、優勝劣敗が決まっていく。経済構造が変わる。

消費する側だけではない。生み出す側、働くサイドも同じこと。時間をうまく使いこなすことは、ビジネスや人生がうまくいくうえで一番大切なポイントの一つ。時間は、現代においてもっとも希少な資源となっているのである。

ところが、時間活用がなかなかうまくいかない。時間はすべての人に平等に与えられているはず。しかし、それを使いこなす能力や技術は平等ではない。誰にでも時間術の達人になる資質はあるのに、その可能性に気付いていないことも多いのだ。

一番大切なのは、「生きた時間」の使い方をすること。ただ単に、忙しがっていたりとか、効率を上げたりすればいいわけではない。人間だって生きものなのだから、時間を使うにも、メリハリのようなものがあるのだ。

オンとオフを切り替える脳の領域は、前頭葉にある。自分の置かれた文脈を察知し、脳の活動を調整する「眼窩前頭皮質」。そして、目前の課題をこなすために脳のさまざまな回路に指令を出す「背外側前頭前皮質」。これらの領域をうまく使いこなすことで、時間術の達人になることができるのである。

商品やサービスを消費する側としても、つくって送り出す側としても、大切なのは切り替えの素早さとその後の集中。ぱっと切り替えて、新しい課題に取り組む。その素早さこそが、時代に求められているのである。