車の事故が起きた時、子どもの命を守るのがチャイルドシートだ。しかし、ネットでは安全基準を満たしていない違法な商品が売っていることがある。自動車生活ジャーナリストの加藤久美子さんがAmazonで怪しい商品を買ってみたところ、明らかな偽造が見つかったという――。

通報しても再び販売されるいたちごっこ

日本は2000年4月1日から5歳以下の子どもを自動車に乗せる際にチャイルドシート使用を義務化した。そして2012年7月よりチャイルドシートとして販売や使用が許可される製品は国連の安全基準【UN/ECE】に適合し、Eマーク認証を受けていることが必須となっている。

しかし、Amazonをはじめ楽天やYahoo!などの大手通販サイトではこれまで数々の「未認証」チャイルドシートが販売されてきた。

筆者は安全基準に適合していない製品を各社に通報し、その都度販売が取り下げられた製品も多々あるが、結局、数カ月たつと再び販売される現状がある。サイトに通報→販売中止(リコール返金)→ほとぼりが冷めた頃に再び販売……6~7年間、この繰り返しだ。

衝突試験を行った国交省が動画で注意喚起

今年4月にも楽天市場の複数のショップで布製ジュニアシートが販売されておりSNSやメディアで騒いだ結果、一時的に姿を消した。しかし今また、何事もなかったように同じ中国製の布製ジュニアシートが楽天を中心に数多くのサイトで販売されている。

問題となった布製ジュニアシート
筆者提供
問題となった布製ジュニアシート

これら未認証の布製ジュニアシートについては2017年、国土交通省が実際に7製品を購入して交通安全環境研究所での衝突試験などを経て検証しその危険性を動画にして啓発している。

その動画では「固定金具は壊れ、布は破れ、ダミー人形は放り出された。ジュニアシート自体は破損せずとも衝撃によって子どもの腹部を強く圧迫し、命に関わる危険な状態を引き起こす」と注意喚起している。

未認証チャイルドシートでは、事故の衝撃を受けると固定金具や布が破れて子どもを拘束することができない(国交省の動画より)
未認証チャイルドシートでは、事故の衝撃を受けると固定金具や布が破れて子どもを拘束することができない(国交省の動画より)

同様の布製ジュニアシートは海外でも大きな問題となっており、イギリスの消費者団体はこれらを「殺人チャイルドシート」と称して購入や使用をやめるよう啓発している。