安全基準を満たしていないのに「合格」

現在もAmazonで販売されているGoodasstというブランドは、商品説明に「ECE R44/04の衝突テストに合格」と書いている。

購入した商品の箱にも「欧州ECER44/04安全検査に合格」と記載
筆者提供
購入した商品の箱にも「欧州ECER44/04安全検査に合格」と記載

これに関して中国の製造元に確認したところ、テストレポートが送られてきた。そこには、「ECE R44/04の衝突試験を実施して要件は満たしているが、認証は与えられなかった」と記されていた。テストレポートの重要部分は以下。

製造元から送られてきたテストレポート
筆者提供
製造元から送られてきたテストレポート

「アイテム1」のECE R44/04の結果(Conclusion)については何も書かれていない。「アイテム2」の結果は「PASS」(合格)とあるが、この「EN71-Part3」は正式名称を“Safety of toys - Migration of certain elements”(玩具の安全性――特定元素の移行)といい、検査対象の玩具製品中に重金属類17元素(19項目)が、接触や誤飲により健康影響を与えるレベルで含まれているか否かを調べる溶出試験である。チャイルドシートの安全基準であるECE R44/04とは何の関係もない。

Eマークは他社商品から勝手に流用?

この衝突試験を実施した検査機関にも確認したところ、以下のメールが送られてきた。

検査機関からのメール文面
筆者提供
検査機関からのメール文面

「R44の要件を満たしているがEマークは与えられていない」と書かれている。

しかし、R44のテストは衝突試験だけではない。検査機関「Eqo Testing and Certification Co., Ltd.(亿科检测认证有限公司)」はまともな機関のようだが、R44のその他の試験(衝突試験以外の構造要件に関する試験など)については行っていないのでEマークが与えられることはまずありえない。

これが偽造Eマークのタグ。この製品にEマークが与えられていないことは、製造元も認めている
筆者提供
これが偽造Eマークのタグ。この製品にEマークが与えられていないことは、製造元も認めている

Eマークタグに記載されているE20は「ポーランドで認証試験を行い、認証を取得した」という意味。そして、「44R-04 4013」は認可番号であるが、これは、メテオAPAC社のスマートキッズベルトと同じ番号である。つまりスマートキッズベルトのEマークを勝手に流用し、偽造しているとみられる。