50代は高い賃金水準を維持している
「日本では2000年前後から、成果主義が浸透し、年功序列は崩壊した」
さて、この記述は正しいでしょうか?
確かに、成果主義的な考え方は浸透しましたが、年功序列が崩壊したかどうかは疑わしいといえます。
グラフは、年齢層別の平均賃金がどのように変化したかを示しています。20~24歳の平均年収を1.00として、年代ごとの平均年収を指数化しています。
平成11(1999)年と平成25(2013)年の線を比べてください。一見すると、男子社員は年功格差が縮まっているように感じます。ところが、よく見ると50代はあまり下がっておらず、30代、40代の社員が抑えられていることが分かります。
逆に女子社員は年齢格差が拡大しています。とはいえ、これまで30歳以降は年収が低下傾向にあったものが、いくぶん改善している程度です。
結論としては、男性はまだまだ中高年が高い賃金水準を維持しているのに対して、優秀な中高年の女性にとっては報われない状況が続いているといえるでしょう。
最近、パナソニックやソニー、日立などが年功賃金廃止・見直しを打ち出しました。「今ごろ?」と思われた方も多いのではないでしょうか。一見、成果主義賃金が主流になっているように見えて、実はまだまだ年功要素の残る企業は少なくないのです。