遅れる女性の管理職登用
政府は2014年6月に発表した成長戦略の中で、2020年までに、『企業などで指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする』という政策目標を掲げました。諸外国に比べて、女性の管理職登用の遅れが目立つ日本ですが、実は国内でも大きなバラつきがあるのです。
管理職(課長職以上)に占める女性の割合について、データで見てみることにしましょう。
民間企業の場合、社員数100~499人規模の企業では管理職のうち女性は10.1%ですが、500~999人規模だと8.3%、1,000人以上の大企業では5.2%にまで低下します。
意外にも、女性登用に積極的な印象のある大企業の方が、低い値となっています。100人未満の中小企業のデータ記載はありませんが、家族経営などが含まれることもあり、大企業よりも女性の管理職比率は高いと推察されます。事実、私がコンサルタントとして人事制度面の支援をしている上場企業でも、女性の管理職がゼロという会社が複数存在します。別の調査では、課長以上の女性管理職が1人も存在しない大会社の割合が、4割に達するという結果も出ています。
公務員の人事制度が民間に比べて進んでいる部分があるとすれば、男女による制度上の格差がない点でしょう。
特に賃金制度については、基本的に男女平等です。また、育児支援についても、実態として民間企業よりは、出産後も働きやすい環境が整えられています。そのため、夫婦で公務員、夫婦で学校の先生、というケースも数多く見られます。もちろん企業でも職場結婚はありますが、結婚もしくは出産を機に多くの女性が退職してしまうため、期間が限定されるのです。