年5万円分の節約が高齢者にウケている

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MVNOの回線数はこの1年で40%超の伸び

今年5月に東京・有明で開催された、モバイル業界の展示会「ワイヤレスジャパン」で、ちょっとした異変が起きた。例年なら、注目を集めるのは通信事業者と相場が決まっていたのだが、「今年はIIJが目立っていたね」という声が多く聞かれたのだ。

IIJは、国内ISP(インターネット接続事業者)の大手事業者である。同じ通信セクターとはいえ、固定インターネットを主軸としており、もともとモバイルとは畑が異なるが、近年は「MVNO」としても注目を集めている。今年はより広くアピールしようと、大々的な出展に至ったのだろう。

MVNOとは、NTTドコモなどの回線事業者(MNO)から、通信回線を借りて、仮想的(Virtual)に通信事業を行う事業者を指す。通信速度の制限などサービスを絞り込むことで、MNOより利用料金が低く抑えられており、「格安スマホ」の前提になっている。

IIJと並んで業界の注目を集めているMVNOが、関西電力系のISPのケイ・オプティコムだ。6月11日付の発表資料によると、サービス開始から1週間で1万契約を突破。音声通話も提供し、データ通信だけなら980円、音声をあわせても1590円という手頃な価格で支持を得た。

ケイ・オプティコムが注目を集めているのは、これまで本格的にMVNOを手がけていなかったKDDI(au)からの回線調達であることも大きい。すでにソフトバンクも対応を進めており、いよいよMVNO本格化の時代に入ったようだ。

MVNO自体はそう新しいものではない。2001年に日本通信が現在のウィルコムからPHS回線を借りて、年額制のサービスを開始したのが始まりである。その後、総務省の通信政策がMVNOを強く推進する方向に舵を切り、2008年頃からNTTドコモが回線提供を開始。それでも当時はノートパソコンのモバイル利用を想定したデータ通信向けサービスが多く、あまり一般的ではなかった。