1000万PVは、今や数十億PVに
そのようにワールドワイドに展開したのが、ヤフーへの投資でした。ヤフージャパンを立ち上げた96年、僕は幹部を集めて檄を飛ばしました。
「今年をインターネット元年とする。インターネットを全面的にやっていく」
24時間体制で検索して閲覧できるサイト集めをするほか、サービス開始までの準備を数カ月間ですませるなどスピーディに作業をしたのを覚えています。とはいえ、ヤフージャパンの売り上げは設立から2年経過しても、ソフトバンク全体の売り上げの1%に満たない規模でした。
それでも、僕自身のマインドシェアのほとんどを占めていたのはヤフーであり、僕の持っている知恵と知識と時間の99%を注入していたのはインターネットでした。96年の夏の朝礼で、折りたたみの椅子に立って社員にこうスピーチしました。
「ヤフー(ジャパン)のページビュー(PV)が(1日)1000万を超えました。これは大変な快挙であります。これから、ますます大きくなります。アメリカのヤフーも破竹の勢いになっています。2年前、ソフトバンクがヤフージャパンをやるといったときに、ほとんどの人はキョトンとしていたと思います。『なんのこっちゃいそれは?』と。インターネット、インターネットと2年前くらいから言い続けていますが、それが我々にとってどんなメリットがあるのか? 一人一人のみなさんにはあまりピンとこない部分もあったと思います。
それが今日になりますと、様々な形でプラスの側面が出はじめていることはわかっていただけると思います。そのような布石、戦略的布石を今も着々と打っております。だから、大いにみなさんにも勉強していただきたき、力をあわせていただきたいのです」
あの頃はまだ1日に1000万PVでしたけれども、今や数十億PV。ヤフーに関しては検索サービスの後にも、掲示板(98年)、オークション(99年)、ブロードバンド(01年)、ヤフー!ケータイ(06年)、タオバオ、Google(10年)という具合に、どんどん進化してきたのは、もうみなさん、ご存じの通りです。
ヤフーは「いい赤字」の会社でした。あの投資は大成功だったのです。