ビル・ゲイツから太鼓判をもらう

ヤフー創業者のジェリー・ヤン(AFLO=写真)

インターネット革命がまさに始まろうとしたこの時期。ネットスケープなど閲覧用ソフトブラウザーや接続サービスなどが急速に普及し、ユーザー数は全世界で約4000万人に達していました。ある調査ではネットビジネスの規模は、8億ドル(94年)から42億ドル(97年)に拡大する。そんな試算が出されました。ネット革命の入り口のところで、これから伸びる会社への資本参加を考えていた僕が真っ先に目をつけた会社。それが、ヤフーでした。シリコンバレーにあるヤフー本社で、創業者である台湾出身のジェリー・ヤンたちに会い、彼らの夢や目指すものを聞き、インターネットの未来像や、既存メディアとの違いについて意見交換をしました。彼らの発言に僕は大いに共感し、「もう彼らしかいない。すべてをかけよう」と思ったのです。磨けば光る、原石。

ただし、ソフトバンク役員は「ヤフーを過大評価しすぎ」と出資を簡単には認めようとはしませんでした。僕は反論しました。

「いや、これは絶対にいけると思う。確かに今は社員数も売り上げもわずかだ。それに創業直後で、損益計算書やバランスシート、実績といった切り口での議論にあまり意味はない。ここは、僕の直感に黙って100億円預けてほしい。これについては議論はなしにしよう。僕に勝負させてほしい」

最終的には役員の了解を得て、世界最大手の半導体メーカー、インテルやデータベース大手、オラクルにも事前に連絡して「あなたたちの事業と競合しないなら投資をする」と確認しました。マイクロソフトのビル・ゲイツからは「オーケー。いいんじゃないか」という返信メールが届きました。