バレエ、モデル、キャンギャル、女優へと華麗な進化を続ける33歳。テレビドラマ「黒革の手帖」で銀座の女を演じ切り、今度は座長として舞台に挑む。
「黒革の手帖」の元子が帰ってきた。明治座5月公演の舞台「黒革の手帖」で米倉涼子は2年半ぶりに、銀行のOLから銀座のママにのし上がり、男たちを翻弄する「悪女」原口元子を演じている。
初演では「銀座の現役ホステスと客」という2人連れの観劇も目立った。テレビドラマ放映時から「銀座雀」も米倉の銀座ママぶりに注目していたということだ。しっくりと着物が似合う辣腕の一流クラブのママを演じたとき、まだ米倉は29歳だった。
振り返れば「黒革の手帖」が女優・米倉涼子のキャリアのうえで、大きな転換点となったのは間違いない。立て続けに松本清張作品の悪女を演じ「清張女優」と呼ばれるきっかけとなったのだ。
「元子を演じられたのはラッキーでした。あれほど周りから評価をいただけるとは思わなかった。私、ほっとすると具合が悪くなるんです。1回目の視聴率が出たあと、ばっと出ました、湿疹が(笑)」
米倉は、「悩みがなさそうと言われますが、結構繊細なんです」と屈託なく笑う。
10月クールのドラマが終わったあとの冬、八王子の山の中にある清張の墓に詣で、きれいに墓石を洗って「ありがとうございました」と手を合わせた。
それまではコメディが多かった米倉が「黒革」では着物が似合う凄みのある悪女でブレークした。同じ演目での座長公演には思い入れがある。