大学生の就職活動について、後ろ倒しになる傾向が続いています。2016年卒の大学生からは、就職活動の解禁時期が現行の3年生の12月から3年生の3月へ繰り下げられることになりました。

ところが、このことによって「他社に出し抜かれるのではないか」という危機意識を持つ企業が増え、採用活動が水面下でかえって「前倒し化」され、解禁時期以前から非公式な形での採用活動が始まるなど「アングラ化」し、その入り口も多様になり「マルチルート化」していくのではないか、と筆者(東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原 淳)は予想しています。

そこで、最新の企業の採用活動の実情を探るべく、人気企業の現役の採用担当者の方々に集まっていただき、「覆面座談会」を敢行。集まっていただいたのは採用人数100~200名という就職人気企業3社の採用担当者、IT企業Aさん、人材サービス業Bさん、製造業Cさんです。PRESIDENT誌2014.4.14号「採用責任者座談会『引き抜き合戦の舞台裏』」で掲載できなかった部分も含め、劇的な変化の渦中にある採用現場からの声をお届けします。

>>採用責任者座談会「こんな大学、こんな学生はいらない!」【1】
   http://president.jp/articles/-/12251

「サークル副部長」はNGワード

【中原】面接などで見る最近の学生さんたちの傾向はありますか?

【Cさん】就活がマニュアル化しているというか、自分を良く見せるのがうまいなって思いますね。

【Aさん】そうですよね。本当にうまい。ものすごくうまいですよ!

【Cさん】自分の引き出しをいっぱいつくって、こちらがどんな質問をしても、瞬時にそれを組み合わせて整理して淀みなく出してくる、というような人がいます。相当な準備をしているに違いなく、それなりの内容できちんと答えているし、受け答えに×をつけるところはない。でも、引いてしまうんですよね。こちらが問いかけたことに対して本当にその場で考えて話しているわけではない、と感じてしまうと、どうも「採用したくない」と思ってしまうんです。

【中原】面接時に思わず引いてしまうような一言などは?

【Aさん】やっぱり「御社が第一志望です」というのは、申し訳ないですけど笑っちゃいますね。

【Cさん】あれは信用できないですね。

【Bさん】第一志望「群」と言う人もいますよね(笑)。

【Cさん】いますいます! A社、B社、C社という第一志望群の中の1社です、と。しかもその会社は業界も全く別で共通点が無かったりして……。

【Bさん】あと、サークルの「副部長」「副リーダー」をやっていた人も妙に多いですよね? リーダーシップをアピールしているつもりなのですが、よくよく話を聞くと、リーダーにくっついていただけで、なにもしていなかったり(笑)。

【Aさん】面接をやっていて面白いな、と思ったのは、人は予期せぬことを質問されて満足に答えられなかったときに、よくしゃべるんですよね。「白ですか黒ですか?」と聞かれているだけなのに、「黒です、なぜなら昔自分は……」と勝手に自己PRを始めて、話がずれていっちゃったり。

【Cさん】そしてどんどん馬脚が現れますよ。しゃべればしゃべるほど辻褄が合わなくなってしまうというパターン。

【Bさん】よくしゃべるといえば、女子学生。女子学生は全般的に話が上手なので、それに惑わされると危ない(笑)。実は、同世代の気の合う友人たちの中では上手くコミュニケーションができていたから「自分はコミュニケーション力がある」と思いこんでいる人も多い気がします。