40~49歳の正社員のうち6割は成長実感がなく、前向きにキャリア展望が描けてもおらず、上場企業の課長昇進の平均年齢が40歳なのに「現在課長に昇進できていない」と答えている――。
先日、規制改革会議の雇用ワーキンググループで、そんな40代ミドルの閉塞した状況がリクルートワークス研究所の大久保幸夫所長から報告されました。
かつて日本企業の現場を引っ張っているといわれた40代ミドルの多くが、現在は社内で活躍できず元気を失っているようです。では、新たに活躍できる職場を求めて転職する動きが活発化しているかというと、それもありません。
こうした40代ミドルの閉塞状況は、日本の雇用の構造的問題が背景にあります。
日本的な雇用システムでは、一般的に正社員は長期雇用慣行に基づいて、企業のなかでさまざまな仕事を経験しながらスキルアップしていきます。ただ、この仕組みはゼネラリストを育成するにはよいのですが、専門性を高めるという点に弱みがあります。
かつ、賃金は年功で上がり続けます。それは若いときに頑張った分、中高年になると自分の生産性より高い賃金が支払われている可能性が高いということです。企業内部で所得の再配分が行われている、という見方もできるでしょう。
専門性が明確でなく、生産性以上の賃金をもらっている40代ミドルは当然、転職が困難になります。とりわけ長く勤めた会社を辞めると年功の効果を失いますから、800万円の年収だった人が400万円まで半減することもありえます。退職金も定年まで勤務するのと比べ、激減するでしょう。
「これではとても転職などできない」というのが、40代ミドルの現実だと思います。