日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ。同社は一昨年、6時間労働制を打ち出して話題を呼んだ。その前から成果報酬は導入せず、基本給・ボーナスは一律支給など、社内から競争を排除している。「争うのは嫌い」という前澤友作社長が目指すのは、どのような企業像だろうか。
【田原】前澤さんは、もともとミュージシャンだそうですね。学校の勉強より、バンドのほうが楽しかった?
【前澤】そうですね。高校1年生のときは皆勤賞でしたが、2年生あたりから半分くらいしか行かなくなって、バイトをしながら音楽活動をしてました。
【田原】大学には行かず、渡米したとか。
【前澤】高一の時点で大学に行く気がなくなってしまって。僕は、千葉の鎌ケ谷に住んでいて、高校がある早稲田まで、電車で1時間半かけて通っていました。そこでラッシュにもまれてつらそうな顔をしているサラリーマンを見ているうちに、このまま大学に行って就職するというレールに乗っかるのは嫌だなと。高校卒業後、当時つき合っていた彼女がアメリカに留学するというので、一緒についていきました。
【田原】音楽活動のためにアメリカに行ったんじゃないの?
【前澤】これまでのインタビューでそう答えていますが、後づけの理由(笑)。ただ、自分たちのデモテープを向こうのレコード会社に持っていったり、向こうでしか流通していないレコードやCDを買い付けたりもしていました。
【田原】その買い付けがビジネスにつながっていくわけだ。
【前澤】帰国して、彼女とバンド仲間でもある高校の同級生と3人で、向こうで買い付けてきたレコードやCDの通信販売を始めました。当時はネットではなくカタログ通販。A4用紙を何枚か束ねてつくったカタログを郵送で送り、電話で注文を受けるという形です。会社を創業したのが1995年で、20歳ぐらいのときですね。
【田原】ファッションを始めたのは?
【前澤】カタログ通販からネット通販に切り替えた後なので、2000年くらいかな。当時、自分が着ていたものとか、仲間のバンド友達がつくっているブランドの洋服を売り始めました。