【田原】バンドもそうだけど、自分が好きで買い付けてきたレコードを売り、それから自分が好きなファッションを売りって、全部、趣味じゃないですか。

1991年、早稲田実業学校入学。通学電車の中のサラリーマンを見て、「働くってなんだろう」と違和感を覚える。バンド活動に夢中になる。

【前澤】はい、全部、趣味です。

【田原】それが面白い。前澤さんのところは今、ファッション通販で有名だけど、音楽のほうは今もやっているの?

【前澤】音楽事業は、05年に独立希望の社内スタッフに譲渡して切り離しました。僕たちの上場は07年。上場審査の基準上よろしくない過激な音楽もあったので、ちょうどよかったかなと。

【田原】でも、ファッションだって過激なのはあるんじゃないの?

【前澤】たまにあります。公序良俗ギリギリなのが(笑)。

【田原】ZOZOTOWNの会員は何人くらいですか。

【前澤】今、600万人超、取扱高も今期は1000億円を超える計画です。

アパレル業界で重視されるのは、目に見えない部分

2002年、「QUNIEE(キュニー)」をオープン。初のレディースオンラインセレクトショップが話題に。

【田原】楽天でも洋服は買えますね。どうして前澤さんのところが人気なの?

【前澤】僕たちのところでしか買えないブランドがあることが大きい。今、2000ブランド以上を取り扱っていますが、まだ半分以上が公式ショップとしては楽天さんで買えないと思います。

【田原】そうなんですか。どうしてメーカーは楽天でも売らないのかな。販路は多いほうがいいじゃない。

【前澤】ブランドの方々は、「自分たちはカッコいいものをつくっているのだから、できるだけカッコいい売り場で売りたい」という思いがあるようです。

【田原】裏を返すと、ZOZOTOWNはメーカーから信頼されているわけだ。

【前澤】それには2つの側面があると思います。一つは、サイトのデザインがいいとか写真が綺麗という見た目の問題。もう一つは、売っている人がどれくらい洋服のことを理解しているか、ブランドのことをどれくらい好きでいてくれるのか、という目に見えない部分です。どちらも大事ですが、アパレル業界で重視されているのは、目に見えない部分。ショップはメーカーさんの思いをお客様に伝える中継点なので、僕たちがメーカーさんと同じ思いを持っていないと、お客様に届かない。うちが信頼されているのは、おそらくそこの部分じゃないかと。