環境に優しい次世代の乗り物として注目されている電動バイク。国内最大手は2010年に設立されたばかりのテラモーターズだ。本社は渋谷の雑居ビルにある四畳半のレンタルオフィス。そこから「日本発のメガベンチャー」を目指すと豪語する徳重徹社長に、田原氏が切り込んだ。

ホンダやヤマハはなぜ参戦しないか

テラモーターズ 徳重 徹社長

【田原】具体的に事業のことを聞いていきましょう。テラモーターズのバイクは、どれくらい売れているのですか。

【徳重】いま日本で3000台です。今年の4月からベトナムでスタートさせるので、一気に台数は増えます。

【田原】ヤマハやホンダといったバイクメーカーは自前でつくっていますね。徳重さんのところは?

【徳重】開発・設計は自社でやっていますが、電池やモーターなどの部品は外から供給してもらい、中国で組み立てています。ガソリンバイクのメーカーと違い、水平分業できるのが強みです。

【田原】ベトナムも、その方式で?

【徳重】ベトナムの場合、組み立ての工場に関しては自前でやります。ホーチミンで、1万台まで量産できる工場をいま準備しているところです。

【田原】それだと水平分業のメリットがなくなりませんか?

【徳重】そこは悩みどころです。じつはベトナムでは中国の電動バイクが先行していて、最初の年に12万台売れました。しかし、次の年は一気に1万台になった。理由は、品質が悪く、メンテもしないから。具体的にいうと、充電器。電子制御するモーターやコントローラーが、ぜんぶ悪い。本当は水平分業が理想ですが、ベトナム市場で中国のメーカーが失敗した原因ははっきりしているので、まずそこは自前でやっていくことにしました。

【田原】中国の電動バイクって、そんなにすぐ壊れるの?

【徳重】中国の市場では、品質が多少悪くても、とにかく安いバイクが好まれるようです。それをそのままベトナム市場にもあてはめたのでしょう。