【田原】そこで聞きたい。電動は安くできるし、市場としても伸びが期待できる。ホンダやヤマハは、どうしてアジアで本格的に電動を売らないのかな?
【徳重】OBの方の話を聞くと難しいみたいですね。たとえばヤマハには開発設計者が1000人くらいいて、そのうち半分がエンジン関係。もしEVバイクに移行すると、社内でこの人たちの行き場がなくなってしまう。そういうジレンマがあって、簡単に電動にいけないと言っていました。
【田原】かつてのカネボウがそうでした。あそこはもともと繊維の会社。化粧品が伸びていたのに、経営陣は繊維出身だから、不採算だった繊維のほうをリストラできず、ダメになった。ホンダやヤマハも、そうなる可能性はあるね。
【徳重】われわれとしては、ぜひ大手にEVをやってほしい。大手の参入は、市場の拡大につながります。その前に「EVバイクはテラモーターズ」というブランドを確立できていれば、むしろ追い風になりますから。
日本が苦戦するインド攻略のカギ
【田原】話を戻します。ベトナム、フィリピンときて、次はどこですか。
【徳重】動いているのはインドです。現在、パートナーを探している段階で、春には目途をつけたいと考えています。
【田原】インドは市場として大きいけど、難しいという人もいる。徳重さんから見てどうですか。
【徳重】インドにいる日本企業の方と話していて、よく聞く文句は3つあります。まず一つは価格です。アジアの他の地域よりコンペティティブで、3~4割安くないと勝負できない。2つ目は、人の問題。東南アジアの人は比較的こちらの指示を聞いてくれますが、インドの方はけっこう文句をいってくる。3番目が夜遊び。飲みにいける場所がなくて大変だというわけです。でも、僕からすると、それが何だと。何しろインド一国で、他の東南アジア全体と同じくらいの市場がある。本気度の話をしましたが、こんな文句が出るあたり、本気ではない証拠です。