優れたリーダーを選ぶことと、その人を止められること
この問いは、企業の経営にもそのまま通じる。
業績を立て直してくれる経営者には、権限を集中させたくなる。その期待には理由がある。危機の局面では、速い決断が会社を救うからだ。だが、その人の判断が間違っていたとき、誰が異論を述べられるのか。大きな成果を上げた人物の提案であっても、問い直す仕組みは働いているか。
国家と企業では制度が異なる。それでも、共通する問いがある。会社にも、法律にあたる規程や決裁の手続きと、習俗にあたる慣行がある。「議論では反対しても、決定後は力を合わせる」「異論を口にした人が不利にならない」「トップの提案でも、数字で確かめる」。こうした慣行が、優れたリーダーの力を生かしながら、間違いを早く正す力になる。
本書の序章では、歴史の転換点を見分けることの大切さを説いた。力を生んだ信頼や権限が、いつの間にか異論を遠ざけるものへ変わっていく。その転換点を見分ける目は、民主主義だけでなく、人工知能、産業、覇権を考えるうえでも役に立つ。本書は、その見方を6つの問いに展開したものである。
誰に任せ、どこまで任せるか
民主主義を一つの章として問うことは、私たちがどんな社会で働き、暮らすのかを問うことだった。米国の中間選挙で、5人に1人がこの問いを自分の一票に託そうとしている。それは、市民が自ら制度を支える力が、いまも生きている証しでもある。
優れた指導者を選ぶことと、その指導者にも異議を唱えられること。その両方を守れるか。
構造を知る者は、構造に飲み込まれない。
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