中国紙が「VIVANT」を名指しで批判
10月25日、中国国営中央テレビ(CCTV)のニュースアカウント「央視新聞」は日本のTBS系ドラマ「VIVANT」(ヴィヴァン)での中国の描き方を批判する内容を放送した。同ドラマについて高市早苗首相が14日の衆議院予算委員会で「年末とお正月にまとめ見できたらいい」と答弁した点について触れ、「(中国への)敵意をかき立てている。日本の認知戦の一環だ」と主張。これが中国のSNS、微博(ウェイボー)のホット検索ランキングで一時トップになった。
翌26日、政府系メディア「環球時報」も、ドラマの中で自衛隊の秘密部隊「別班」のメンバーが中国系の情報組織「シンシー」から指を切断されたり、腹部を刺されたりする拷問を加えられる場面について、「旧日本軍が中国の抗日志士に行ったものと酷似している。中国人を残忍な加害者として描いている。中国を中傷し、中国脅威論を誇張しているものだ」と批判した。
このニュースが日本で大きく報じられると、日本のSNS上では議論が沸騰した。たとえば「一体どの口が言っているのか。自分たちこそ、これまで散々抗日ドラマを放送して日本を貶めてきたじゃないか」「批判は勝手だけれど、あくまでもフィクションですから」という反論が中心だった。一方、今回の報道以前から、日本では、中国ととくに関係が深い人などから「あまりにも中国の描き方がひどすぎるのではないか」「これではさらに日中関係が悪化しかねない」と心配する声もあった。
現地の一般市民はどう思っているのか
中国ではこの点(日本でも同ドラマに批判がある点)も報道されているが、日本では高視聴率をキープしており、11月8日の最終回に向けて盛り上がりをみせている。前述の高市首相の発言もあったことから、中国政府側は看過できないとして今回の報道に踏み切ったようだ。報道後、サンリオの中国現地法人は同ドラマとのコラボを中止すると発表、影響が広がっている。
一方、中国の一般市民は同ドラマについて、どう思っているのか。CCTVや「環球時報」の報道後、SNSでは「歴史を忘れるな」「日本鬼子……」(日本人の蔑称)などのコメントがあったものの、日本のSNSに比べると、ヒートアップしていないように見える。コメント数も、中国のSNSで盛り上がるものなら数万件に上ることが珍しくないが、数千件程度だ。むろん、口汚いコメントはあることはあるが、論理的に分析しているものは少ない。
それもそのはず、「VIVANT」は日本のドラマであり、中国では放送されていないからだ。放送を観るには、中国で認められていないVPNを使ってネットで視聴する必要がある。CCTVで報道されたことにより、同ドラマで中国の組織が極悪非道に描かれている、と知った中国人のほうが多いくらいだろう。

