与えた力が、止めにくい力に変わる

この物語から引き出せるのは、一つの逆説である。自分たちを守るために与えた力が、自分たちには止めにくい力へ変わることがある。

ただし、この物語の読み方には注意が要る。プラトンは、民主制に批判的な立場からこの議論を展開した。そして、これは特定の時代の選挙の結末を予言したものでもない。ここで取り出したいのは、人々の支持を集める過程と、集まった権力を制約する過程は別のものだ、という問いである。

本書第3章では、プラトンを手がかりに、「なぜ民主制から戦争が生じるのか」という問いも取り上げた。守り手への期待が、どのようにして社会の向かう先を変えていくのか。その構造は、2400年後の私たちにも多くを語りかけてくる。

「民主主義を守る」人々は、同じものを守っているのか

現代に戻ろう。調査の数字を支持政党別に見ると、もう一段深い構図が浮かび上がる。

民主主義を最も重視する人は、民主党支持層では37%にのぼり、共和党支持層では13%だった。民主主義の価値観と規範について、どちらの政党がより良い方針を持っているかを尋ねると、民主党支持層の83%が民主党を、共和党支持層の68%が共和党を挙げた。

 

では、共和党支持層は民主主義に関心が薄いのか。そうではない。同じ調査で「不正投票は広く起きている」と考える人は、共和党支持層では70%に達し、民主党支持層では23%だった。米調査会社ギャラップが4月から6月にかけて全米の成人2万3683人に尋ねた調査でも、共和党支持層の78%が「資格のない人の投票」を懸念し、民主党支持層の77%は「政治指導者が選挙管理者に圧力をかけること」を懸念していた。

アメリカの国旗を振る観客
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