医療費控除でふるさと納税がなかったことに
税金を取り戻そうと良かれと思って行った確定申告が、裏目に出て大損してしまう恐怖の落とし穴もあります。それが「ワンストップ特例」と「医療費控除」のバッティングです。
【事例:年収800万円・50代男性Bさんのケース】
Bさんは年間15万円のふるさと納税を行い、「確定申告が面倒だから」という理由で、すべて「ワンストップ特例制度」の申請書を各自治体に提出していました。
しかし年末、家族の歯科インプラント治療などで年間30万円の医療費がかかったため、「医療費控除を受けて税金を還付してもらおう」と、2月に自分で確定申告を行いました。
後日、医療費控除による数千円の還付金口座振込に喜んでいたBさんですが、5月に届いた住民税決定通知書を見て愕然とします。
ふるさと納税の控除が一切適用されていなかったのです。
【解説:確定申告をすると「ワンストップ特例」は全無効化される】
ふるさと納税の「ワンストップ特例」は、「確定申告をしない会社員」のための特例制度です。そのため、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などで一度でも確定申告を提出すると、それまでに提出していたワンストップ特例の申請はすべて無効になってしまうのです。
ふるさと納税は「15万円寄付すると、自己負担2000円を除いた約14万8000円分の税金が安くなる(控除される)」制度です。ワンストップ特例が無効化され、確定申告でも入力を忘れた場合、この「本来浮くはずだった約15万円の税金控除」が完全に消滅し、15万円をただ寄付することになってしまいます。
Bさんは確定申告書を作成する際、医療費控除の入力だけに集中し、「寄附金控除(ふるさと納税)」の項目を改めて入力し直さなかった結果、15万円のふるさと納税がただの「寄付(自腹)」となってしまったのです。
確定申告忘れで9万円損した60歳男性
年度途中に会社を辞めた人も、確定申告(還付申告)を忘れると損をしてしまう事例をご紹介します。定年退職を迎えた後、「定年後の働き方」や「転職・再就職」のタイミングによっても、確定申告をしないことで大きな損をするケースが多発しています。
【事例:前職年収800万円・60歳男性Cさんのケース】
定年(60歳)を迎えたCさんは、会社からの再雇用(再雇用後の年収300万円提示)を辞退し、長年の経験を活かして別の会社へ再就職しようと3月末で退職しました。しかし、希望する条件の再就職先がなかなか決まらず、そのまま年末を迎えることに。
給料があったのは1月〜3月までの3カ月間(給与総額:約150万円、天引きされた所得税:約10万円)のみでした。
Cさんは「今年は3カ月しか働いておらず収入も激減したし、無職の期間が長いから税金なんて関係ない」と思い込み、確定申告の時期をスルーしてしまいました。

