別居する親に仕送りする40代男性

【事例:年収700万円・40代男性Aさん、「別居している高齢親」を扶養に入れ忘れたケース】

Aさんは70代の親が実家(地方)で年金生活を送っており、毎月一定額の生活費を仕送りしていました。親の年金収入は年間150万円程度でしたが、Aさんは「別居しているし、親も年金をもらっているから関係ない」と、過去10年近くにわたり年末調整で親の扶養について申告していませんでした。

【解説:別居でも「生計を一」にしていれば扶養控除の対象】

70歳以上の親を扶養に入れる場合、次のように「老人扶養控除」が適用されます。

<所得税の控除額>
・同居老親等:控除額58万円
・同居老親等以外(別居):控除額48万円

<住民税の控除額>
・同居老親等:控除額45万円
・同居老親等以外(別居):控除額38万円

別居であっても定期的な仕送りなどにより「生計を一」にしているとみなされ、親の合計所得金額が62万円以下(公的年金収入のみで65歳以上なら年172万円以下※年金控除適用後)であれば、扶養控除の対象となります(※1)。

なお、仕送り額に明確な基準はありませんが、実務上は「月2万〜3万円程度」の定期的な送金が一つの目安となります。また、税務署への証明として、手渡しではなく銀行振込などの履歴(通帳の記録)を残しておくことが必須のポイントです。

※1:過去5年分をさかのぼって還付申告する場合、還付額は各年ごとの税制や親の所得状況に応じて計算されます。

扶養に入れ忘れて5年で100万円も損

生計を一にするとは、収入や支出を実質的に共同して生活している状態を指し、必ずしも同居が条件ではなく、別居でも生活費などを継続的に負担していれば該当し得ます。

【参考文献】(「生計を一にしているもの」の意義)|国税庁

Aさん(税率:所得税20%+住民税10%=計30%)が70歳以上の別居の親1人を扶養に入れた場合:
・所得税の減税効果:48万円×20%=9万6000円
・住民税の減税効果:38万円×10%=3万8000円
・年間合計:約13万4000円の節税

Aさんは長年離れて暮らす親を扶養に入れずに損をしていましたが、還付申告を行えば時効にかからない過去5年分をさかのぼって取り戻すことができます。約13万4000円×5年=総額約67万円にもなります。

老夫婦に傘をさすモデルを持ったビジネスマン
写真=iStock.com/William_Potter
※写真はイメージです

もし、同じようなケースでご両親2人分の場合になると、100万円以上の大きな金額になります。この金額を、還付申告を行えば5年分さかのぼって取り戻せますが、知らずに放置し続ければ全額捨てることになります。

【参考文献】No.2030 還付申告|国税庁