高齢者や低所得者を襲う致命的な事態
まず、通貨の価値が急落し、非常に高いインフレが続き、短期間に物価が数倍以上になる。高インフレにより年金や医療保険を始めとする社会保障は実質的に崩壊し、国民の生活は急速に困窮する(なお、可能性は高くないと思うが、過去には、ハイパーインフレすなわち月率50パーセント以上の物価上昇というすさまじい例もかなりある)。
失業率が急上昇し、ホームレスも激増する。こうした混乱を一気に収束させる手段としては、戦後の日本のような預金封鎖と一律の財産税賦課が考えられるが、そのようなドラスティックな政策(社会秩序が崩壊しかねない)を避けて段階的な措置が採られるとしても、国民生活はやはり決定的な被害を受けるであろう。
被害が最も大きいのは、年金生活者を含む高齢者、そして低所得者であろう。中間層がそれに次ぎ、特に、社会的ネットワークをもたない都市部の中間層は、生活必需品のみならず家賃、教育費、各種サーヴィス費用等急上昇の打撃を、もろに受ける。資産構成にもよるものの、資産家のほうが、何とか危機を切り抜けることのできる可能性は高いといえよう。
そして、現在の日本は、戦後すぐの日本とは全く異なる高齢化社会であり、下から突き上げるようなエネルギーには乏しいから、こうした状態からの復興も、スムーズには進みにくい。歴史上の例が示すとおり、政権の相次ぐ交替や社会秩序の崩壊、政治や社会の極端なポピュリズム化、全体主義的な政党や極端な国家主義的政党の進出等も十分に考えられる。まともな民主主義社会として復興することは、容易ではないのだ。
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