エヌビディアがなければAIのChatGPTもClaudeも動かない、と言われる。なぜ同社は急成長を遂げたのか。半導体商社の経営者である新川裕也さんは「AIを動かす脳を一手に担う企業になるための巧みな企業戦術があった」という――。

※本稿は、桶井道・新川裕也『3倍・5倍・10倍の神株が続出! 半導体株&AI株投資大全』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

Nvidia社のブランドロゴ
写真=iStock.com/Robert Way
※写真はイメージです

AIとは「エヌビディア」である

生成AIブームで最大級の恩恵を受けた企業のひとつが、エヌビディア(米国)です。

同社はAIモデルの学習・推論で広く用いられるGPUを中核に、関連ソフトウェアも含めたプラットフォームを提供しています。株価もAI需要の拡大を背景に大きく上昇し、直近5年で10倍以上、10年前から見ると約200倍となっています。

なぜ、エヌビディアがここまで評価されているのか、その成長の原動力と競争優位性を紐解いてみましょう。

AI向けGPU市場をほぼ独占

まず、なんといってもAI特需が直接的な要因です。

ChatGPTをはじめ、現在の生成AIを動かすには、大規模な計算を並列処理できるGPUチップが大量に必要です。エヌビディアはこのAI向けGPU市場をほぼ独占しています。

データセンターで使われるAIサーバーにはエヌビディアの高性能GPUが搭載されており、競合であるアドバンスト・マイクロ・デバイセズのGPUや、グーグルのTPUもあるものの、性能・エコシステムの両面での優位性から、エヌビディアが圧倒的なシェアを握っています。

AI需要が爆発した2023年、エヌビディアのGPU供給は需要に追いつかず、市場では製品の争奪戦が起きました。

その結果、2023年5~7月期(FY2024第2四半期)のデータセンター向け売上高は、前四半期比141%増、前年同期比171%増の約103億ドルにまで急拡大し、市場予想を約20億ドルも上回る大きなサプライズとなりました。

さらに8~10月期の売上高は約145億ドルと、当時の市場予想を大幅に上回りました。特に生成AI需要を背景に、データセンター事業は通年で前期比倍以上の成長ペースとなり、利益面でもFY2024(2023年2月~2024年1月)は当期純利益が前年を大きく上回る水準へと急拡大。一部の四半期では、前年同期比で10倍近い増益を記録しました。

こうして生み出された潤沢なキャッシュを原資に、同社は最大250億ドル規模の自社株買いも発表しています。こうした業績の急成長が、株価が急上昇するだけの評価を受ける背景となったのです。