半導体の世界シェア7割という驚異的な占有率を誇る台湾のTSMC。半導体商社の経営者である新川裕也さんは「AI時代の頭脳となる半導体も、TSMC抜きにはつくれない状況だが、生産拠点を台湾外に広げる動きは、半導体地政学の観点でも注目されている」という――。

※本稿は、桶井道・新川裕也『3倍・5倍・10倍の神株が続出! 半導体株&AI株投資大全』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

TSMC
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シェア7割超…世界を牛耳る台湾企業

半導体業界を理解するために、台湾という国は外せません。そして、台湾を語るうえでは、ファウンドリが最重要です。

たまに勘違いされますが、ファウンドリ企業は、自社でスマホやパソコンなど完成製品をつくったり、販売したりはしません。代わりに、半導体チップの製造専業者として、他社が設計した半導体チップを自社の工場で受託生産します。“縁の下の力持ち”として、さまざまな半導体メーカーやファブレス(自前の工場を持たない設計専業企業)の「製造部門」を引き受ける存在というわけです。

前述しましたが、たとえばアップルやエヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイセズなど米国の著名企業の多くも、工場を持たずに設計に特化しているファブレスであり、製造はTSMC(台湾)などファウンドリ企業に委託しています。

もともと半導体産業では、1970~80年代まではインテル(米国)や日本の半導体メーカー各社(日立製作所、NEC、東芝)のように、設計から製造まで一貫して行う垂直統合型(IDM)が主流でした。

しかし1990年代以降、微細化に伴う巨額の設備投資負担から、業界構造が水平分業メインへと大きく転換しました。これも、前項までに解説したとおりです。工場(Fab)を持たないファブレス企業と、製造専門のファウンドリ企業に役割を分けるモデルが台頭し、このモデルでは、設計会社は巨額の工場投資をしなくて済み、ファウンドリ側も多数の顧客から製造を請け負うことで工場稼働率を高められるメリットがあります。

ファブレスとファウンドリの分業体制は半導体開発・製造のスピードを飛躍的に高め、今日の半導体業界を支える基盤となりました。中でも台湾のTSMCは、世界最大の専業ファウンドリとして知られています。このTSMCを中心に、台湾の半導体企業について見ていきましょう。