「世界の工場」台湾ファウンドリ企業群
王者TSMCの存在感があまりにも大きいため見落とされがちですが、台湾にはほかにも実力あるファウンドリ企業がいくつも存在します。
まず挙げられるのがUMC(聯華電子)です。TSMCに次ぐ台湾第2位のファウンドリであり、22~130ナノといった成熟プロセスに強みを持つことで知られています。世界ファウンドリ売上ランキングでも、常にトップ5位以内に顔を出し、グローバル市場における確かな地位を築いています。
続いて、台湾ファウンドリ産業を支える中堅勢力として、PSMC(力晶半導体)やVIS(世界先進)が挙げられます。PSMCはもともとはDRAMのメーカーでしたが、ファウンドリに事業転換したユニークな歴史を持ち、近年は日本企業との合弁構想でも話題になりました。一方のVISは、車載半導体やディスクリート向けの成熟プロセスを得意とする「堅実な職人ファウンドリ」とでもいうべき存在です。
このように台湾には、TSMCという巨大企業だけでなく、複数のファウンドリが多層的に存在し、それぞれが個性と得意領域を持ちながら世界の半導体のサプライチェーンを支えています。台湾が「ファウンドリ王国」と呼ばれる所以は、まさにこの厚みのある産業構造にあります。
その結果、現在「半導体=台湾でつくる」図式が鮮明になっています。前述したとおり、2025年時点で、TSMC単体で世界ファウンドリ市場の約7割を占めるうえ、そこにUMCやPSMC、VISなどを加えた台湾企業全体では世界シェアの約8割に達するとの試算もあります。特にAI時代を支える先端半導体チップにおいては、9割以上を生産する「世界のAIチップ工場」となっています。
こうした台湾の圧倒的な製造能力なくして、スマホもデータセンターも自動車も成り立たないのが現代社会なのです。
もっとも、この偏重ぶりは半導体サプライチェーンのリスクとも表裏一体です。ファウンドリ各社が台湾に集中することで、自然災害や地政学リスクが顕在化した場合の影響も大きくなります。新川は10年以上、半導体業界に身を置き、特に感じますが、工場が動かなくなるとすべてが止まり、たいへんなことになります(そのために、当社トナリズムのような半導体商社があるともいえますが)。
近年はサムスン電子やインテルの巻き返し、本項で述べてきた各国政府による自国への工場誘致なども進みつつありますが、技術力・規模の点で、TSMCを筆頭とする台湾勢の優位はなお揺らいでいません。「台湾ファウンドリなくして半導体産業なし」といえる状況はまだしばらく続くでしょうし、投資家としても、台湾は注視し続けるべき国(地域)だといえるでしょう。
王者TSMCは、半導体株投資の有力な候補となります。台湾は気候も人も温かく、新川も大好きですが、実は半導体産業においては世界トップクラスに重要な国(地域)のひとつなのです。
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