競争力の源泉はCUDAにあり

では、エヌビディアの競争優位性はどこにあるのでしょうか。同社は1990年代にPC向けグラフィックスカードで頭角を現し、2000年代にはゲーム・PC向けGPU市場で確固たる地位を築きました。

しかし同社の真骨頂は、2006年に発表された開発環境CUDA(「クーダ」と読みます)にあります。

CUDAはGPUを汎用計算に用いるためのソフトウェア基盤で、無償で研究者や開発者に提供されてきました。これにより、GPUを使った機械学習や数値計算の実験が急速に広がり、のちのディープラーニングブームを支える技術的土壌が形成されました。

エヌビディアは早い段階から、ソフトウェアとハードウェアの両面を押さえていたのです。もう少しわかりやすく説明し直しましょう。

研究者や開発者に無償提供で囲い込み成功

研究者や開発者は、エヌビディアのGPUを動かすCUDAという専門ソフトウェアに慣れると、ほかのソフトウェアを使わなくなりました(私たちがマイクロソフトのWordやExcelに慣れて、ほかのアプリケーションにスイッチしないのと同じ現象です)。

くどいですが、CUDAはエヌビディアのGPUにしか使えないソフトウェアです。つまり、CUDAに慣れた研究者や開発者は、もし他社のGPUを起用したいと思ったときには、イチからソフトウェアに習熟しなくてはなりません。

その選択肢はなかなか取れるものではないため、研究者や開発者をハードウェアとソフトウェア(無償提供)の両面で囲い込んだ、エヌビディアの戦略の勝利といえます。

競合のアドバンスト・マイクロ・デバイセズもGPUを提供していますが、CUDAに相当するソフトウェア基盤の普及では後れを取りました。

インテルに至っては、長らくCPU中心の戦略を取ってきたこともあり、データセンター向けAIの主戦場では出遅れた形となっています。

エヌビディアは先行者利益によって巨大な開発者コミュニティを築くことに成功し、後発が短期間では追いつけない高い参入障壁を形成している、というわけです。

クリーンルームでチップを点検するエンジニアたち
写真=iStock.com/gentlelight
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