「東大か京大に」と母に求められて育ち、早稲田大学に入学したものの中退した高橋悠介さん(仮名)は現在、築66年、家賃6万円のワンルームで10年以上暮らしている。会社に勤めず、部屋はゴミ屋敷。決まった生活時間はなく、寝たい時に寝て、起きたい時に起きる。それでも経済的には自立し、収入は本人によれば「人並み」だという。働きに出ない高橋さんは、どうやってこの暮らしを成り立たせているのか。9浪の末に早稲田大学に合格した教育ジャーナリストの濱井正吾さんが聞いた――。
常温のマヨネーズが転がった部屋
都内のワンルームで暮らす男性がいます。
高橋悠介さん(仮名)。その部屋は、いわゆるゴミ屋敷です。早稲田大学の近くにある木造2階建て、築66年、家賃6万円のアパートの一室は片付けの途中で、いつのものかわからないレモンが出てくることもあります。開封後は要冷蔵のはずのマヨネーズが、常温の床に転がったままになっていることも。
本人いわく「酢が入っているんだから、大丈夫ですよ」とのこと。これまで部屋を本気で片付けたこともありますが、しばらくすればまた元に戻る。そういう部屋で10年以上にわたって生活しています。
高橋さんの1日に、決まったタイムスケジュールはありません。寝たい時に寝て、起きたい時に起きる。満員電車に乗ることも、上司に頭を下げることもありません。飲みたい時に酒を飲みます。
それでいて、誰かに養われているわけではありません。会社員ではなく、アルバイトの掛け持ちでもなく、親の仕送りでもない。高橋さんは、このゴミ屋敷にいながらできる――それどころか、この部屋さえネタになる――ある「仕事」で生計を立てているのです。
高橋さんは鹿児島県の出身。母親に「東大か京大」を求められて育ち、早稲田大学に入学した後、中退しました。母親が望んだ進路から離れた高橋さんは、いったい何を仕事にしているのでしょうか。


