世界一の人口を抱えるインドの存在感が強まっている。評論家の白川司さんは「中国にとって、インドは自国の消費の弱さを解決してくれる重要な存在だ。しかし、インドの動きからは過度な中国依存は避けたいという姿勢が透けて見える」という――。
「中印はパートナー」は共通認識?
9月12日、ニューデリーでBRICS首脳会議が開かれた。
中国の習近平国家主席は7年ぶりにインドの地を踏み、モディ首相と会談した。会談後、中国側は「中国とインドはパートナーであるべきだという重要な共通認識に達した」と発表した。
インド・ニューデリーで開催されたBRICS首脳会議にて、記念植樹式を前に並ぶ(左から)ロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相、中国の習近平国家主席=2026年9月12日
ところが、インド側の公式発表を読むと、「パートナー」という文言はなかった。インドが代わりに強調したのは、「国境地域の平和と安定が両国関係の不可欠な基礎」であること、そして「構造的な貿易不均衡」と「サプライチェーン問題」の解決という課題だった。
7年ぶりの訪問でインド接近を試みた習氏だったが、インドはロシアとの戦略的連携を維持する一方で、中国が求める戦略的連携には距離を置く姿勢が明確になった。この首脳会談は、今後、インドが中国との距離を広げていく象徴的な出来事として歴史に残るかもしれない。
中国に近い2つの大国の危機感
その5カ月前に当たる今年5月、ロシア国営メディア「RT」が、「中国は戦略的パートナーシップの恩恵を享受しながら、それに伴う負担を十分に担おうとしていない」という異例の論評をしている。これまでは蜜月関係を演出してきた中ロだったが、ロシア国営メディアが、戦略的パートナーである中国への不満を示唆した。
この2つの出来事は無関係に見えるかもしれないが、実は同じ根っこから発生している。それは「中国への過度な依存は避けたい」という危機感だ。
中国にとって大きな戦略的リスクの一つが、インドとロシアという2つの大国が自分の影響圏から抜け出すことである。それを避けるためにも、中国は両国との連携を深めようとしているが、インドは中国と距離を置き、ロシアでは中国への依存に対する不満が表面化し始めている。

