中国から離れたいけど離れられない

ロシア側の大きな不満はもう一つある。それは、ウクライナ戦争の長期化が中国の戦略的利益とも重なっていることだ。

中国は表向きには「平和・対話・主権尊重」を唱える一方で、ロシア向けのデュアルユース品などをめぐって欧米から批判を受けている。実際、王毅外相はEU高官に「ロシアが敗北すれば、アメリカがインド太平洋に全力を向ける。だからロシアには負けてほしくない」という趣旨の発言をしたと報じられている。

これは「ロシアがウクライナと戦っているかぎり、アメリカは中国に集中しにくい」という中国側の戦略的懸念をうかがわせる発言である。

中国とロシアの関係には協力と利用が同時に存在している。中国にはロシアの資源が必要であり、ロシアには中国の市場と金融が必要だ。

ロシア側も、中国への依存が一方的に深まることには強い警戒感を持っている。それを示しているのが、今回のRTの論評でもある。だが、ウクライナ戦争が続く限り、西側からの制裁が続く。その厳しい制裁が続く限り、中国なしでは経済が回りにくいのである。

だから表向きは「特別な関係」を演じ続けるしかない。ロシアは中国への依存を減らしたいが、減らせない――これがロシアの現状である。

中国、ロシア、インドの国旗
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複雑な三角関係を意識した安倍外交

インドは大の親ロ国であり、現在もロシア産原油の世界有数の輸入国である。また、ロシアは依然として最大級の武器供給国である。

インドは長年、武器など安全保障やエネルギーをロシアに依存してきており、ロシアがウクライナ軍事侵攻をした際も、「中立」の立場を崩さず、西側の対露制裁にも厳として加わらなかった。

そんな中、中ロが急速に接近したので、インドとロシアの両国に「中国との距離をどう取るか」という課題が生じた。

ロシアにとってインドは、中国依存を減らすうえで重要な存在だ。インドはロシアを戦略的自律外交の柱の1つとして維持している。両国は、中国への過度な依存を避けたいという点では共通している。

安倍外交は、この構図を強く意識して展開された。