ロシアの警察車両を取り囲んだ中国人作業員
「警察の職務執行だ、撮るな、撮るな!」
現場の管理者とみられる人物が、中国語でそう叫ぶ。小銃を手にしたロシアの警官が、宿舎のドアを破って踏み込む。中国人の作業員1人が連れ出され、車に押し込まれた。
2026年8月9日、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクから約160キロ離れた、港町のウスチ・ルガ。中国の国有企業、中国化学第七建設が請け負う大型ガス化学プラントの工事現場が、対立の舞台となった。連れ出された男は、長く給料が支払われておらず、この日は酒に酔っていたとみられる。管理者と口論になって罵声を浴びせたため、現場のスタッフが警察を呼んだという。
連行に反発した作業員たちがいっせいに警察車両に押し寄せ、車をびっしりと取り囲んだ。台湾の通信社「中央通訊社」が現地のSNS投稿をまとめたところでは、その数は1000人を超えたという。怒号が飛び交う。スマホを掲げ、ライブ配信する者。中国国歌を歌い出す者までいた。警察車両は、まったく身動きが取れない。収拾がつかないとみた警官は、その場で男の身柄を解放した。
騒ぎのもとをたどれば、給料の未払いが長引いていることに行き着く。中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、中ロの蜜月ぶりを内外に誇示してきた。その陰で、ロシアの巨大プロジェクトを担う中国人労働者たちは、中国企業の雇い主にもロシア側にも給料の支払いを求めてきたが、いまだ回答を得られずにいる。
よい仕事に就けると信じて国境を越えた中国人労働者たちは、異国ロシアの地で途方に暮れたままだ。
「俄罗斯上千中国工人围堵警车,阻止持枪警察抓人(2026.08.09)」8月9日,中国化学第七建设有限公司承建的俄罗斯波罗的海天然气化工综合体项目发生大规模中国工人抗议事件。据工人透露,起因是一名长期讨薪无果的中国工人在饮酒后辱骂了项目方人员。在项目方报警后,当地持枪警察赶到现场,试图将涉事工人带走。然而,警察和警车很快被上千名中国工人团团围住,拒绝警察离开。最终,在现场工人的集体压力下,警察释放了涉事工人。
— 昨天 (@YesterdayBigcat) August 10, 2026
戦争と高齢化で150万人の労働者が不足
こうした現場は、化学プラントのあるウスチ・ルガに限らない。ロシアのバルト海沿岸から極東まで、各地にある大規模な建設現場で中国人が汗を流している。
スリランカ主要英字紙のデイリー・ミラーによると、中国化学第七建設の親会社である国有の中国化学工程集団は、バルト海沿岸で総額200億ドル超(約3兆1600億円)の事業を手がけている。
極東のハバロフスク地方では、石油大手ロスネフチの製油所で、中国人が燃料製造設備の建設を進めていた。隣のアムール州では、ロシアの石油化学大手シブールと中国国有のシノペックが共同出資する事業費100億ドル(約1兆5800億円)規模の樹脂工場が、完成間近だ。
働き手が、とにかく足りない。プーチン氏は、2.2%という世界でも最低水準のロシアの失業率を、繰り返し誇示してきた。だが、それは新たに雇える人がもうほとんどいないということも意味する。ブルームバーグが伝える推計では、70万〜90万人が軍に吸い上げられ、外国人の出稼ぎ労働者は2022年初めと比べて約100万人減った。労働力の不足を埋めるには、あと150万人が必要だという。
そうしたなか、中国人労働者は増えている。香港在住の著述家マーク・オニール氏は香港の経済メディア「EJインサイト」への寄稿で、旧ソ連諸国の出身者を除けば、外国人労働者のなかで中国人が最も多いと指摘する。ロシア内務省が2025年に中国人に発給した労働許可は9万2000件。前年の1.5倍で、発給総数24万件の4割近くを占めた。
