健康のためには、どのくらい歩くといいか。東京都健康長寿医療センター研究所部門長の青栁幸利さんは「歩けば歩くほど健康になるという単純な話ではない。群馬県中之条町に住む65歳以上の住民約5000人を対象に、歩数だけでなく、歩く強度、睡眠、食生活、病気の有無など、生活全体を長期的に追跡した中之条調査では、『歩く量』と同時に、『歩く質(強度)』も重要であることがわかった」という――。

※本稿は、青栁幸利『歩く人がすべて手に入れる 医学的に正しい最強の歩き方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

歩数の表示されたスマホを持つ手
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結局、どのくらい歩けば効果があるのか

歩くことは、脳を変える行為です。しかもそれは、精神論ではありません。近年では脳科学や運動生理学の進歩によって、「どのくらい歩くと、脳や身体にどんな変化が起こるのか」が、かなり具体的に見えるようになってきました。

ではここで、疑問が出てくるのではないでしょうか。「実際に、どれくらい歩けばいいのか?」と。これは、私が長年研究し続けてきたテーマでもあります。

歩くことが大事だとわかっていても、「どの程度やれば効果があるのか」が曖昧だと、人は続けられません。「1日1万歩、歩くのが良い」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。逆に、「そこまで歩かなくてもいい」という情報を見たことがある人もいるかもしれません。

健康情報があふれている現代では、「結局どれが正しいのか」と混乱してしまう人も少なくないでしょう。

そこで私は、「感覚」ではなく、「実際のデータ」で確かめる必要があると考えました。その研究こそが、のちに「中之条研究」と呼ばれることになった、私が25年以上にわたって追跡調査を続けてきた疫学研究です。