ウォーキングの効果をさらに高めるには、どうすればいいのか。東京都健康長寿医療センター研究所部門長の青栁幸利さんは「近年の研究では『どこを歩くか』によって脳や身体への影響が大きく変わることがわかってきた。研究では、特定の場所を歩いた後に唾液を調べると、ストレスホルモンであるコルチゾールが平均13.4%減少したことが報告された」という――。
※本稿は、青栁幸利『歩く人がすべて手に入れる 医学的に正しい最強の歩き方』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
多くの人が自律神経の乱れを自覚していない
自律神経とは、呼吸、心拍、血圧、消化、体温調節など、生命維持に必要な働きを24時間自動でコントロールしている神経です。
自分の意志とは関係なく働き続けているため、「自律神経」と呼ばれています。
自律神経には、大きく分けて2つの役割があります。1つが、活動モードを担当する「交感神経」。もう1つが、休息モードを担当する「副交感神経」です。
本来、この2つはバランスを取りながら働いています。昼間は交感神経が優位になり、集中して活動する。夜になると副交感神経が優位になり、身体を回復モードへ切り替える。
しかし現代人は、この切り替えがうまくできなくなっています。常にスマートフォンを見る。仕事の連絡が夜まで来る。SNSや動画を見続けるなど、脳がずっと情報処理を続けた結果、交感神経ばかりが働き続け、常に緊張状態の人が確実に増えています。
交感神経が優位になると、次のような反応が起こります。
●心拍数が上がる
●血圧が上がる
●呼吸が浅く速くなる
●筋肉が緊張する
●汗をかきやすくなる
これは、かつての狩猟時代に、危険を感じたらすぐに動けるようにするための反応です。短期的には必要な反応ですが、長く続くと負担になります。
すると身体には、さまざまな不調が現れ始めます。寝つきが悪い。眠りが浅い。胃腸の調子が悪い。疲れが抜けない。肩こりや頭痛が増える。気持ちが不安定になるなど。
しかも厄介なのは、多くの人が「自律神経が乱れている」と自覚していないこと。単に疲れているだけだと思ってしまうことでしょう。ですが実際には、脳と身体が休めない状態に入っているのだと自覚していただきたいのです。

