森林浴でコルチゾールが13.4%減
筑波大学の研究では、森林浴をしたあとの唾液を分析したところ、ストレスホルモンであるコルチゾールが平均13.4%減少したことが報告されています。「森へ行くと何となく落ち着く」という感覚は気のせいではなく、脳と身体が実際にストレス状態から回復方向へ変化しているのです。
また、森林環境では自律神経にも大きな変化が起こります。都市部と森林部を比較した研究では、森林では交感神経活動が低下し、副交感神経活動が高まることが確認されました。これは、脳と身体が「緊張モード」から「回復モード」へ切り替わっている証拠。
さらに、森林浴の研究は日本でも数多く行われていて、森林総合研究所、千葉大学、日本医科大学などによる「森林医学」の研究では、森林と都市環境を比較した実験が行われてきました。
その結果、森林ではストレスホルモンであるコルチゾールが減少し、副交感神経活動が高まり、交感神経活動が抑制されることが確認されています。脳と身体が「安心モード」に入りやすくなるのですね。
騒音や人工的な光、スマートフォンからの大量の情報など、現代人の脳は常に刺激を受け続けており、休む暇がありません。
しかし森林に入ると、その刺激が一気に変わります。木漏れ日や風の音、鳥の声や土の感触、木の香りなど、自然環境は、脳に対して非常に穏やかな刺激を与えてくれます。
しかも、その刺激は「五感」すべてに働きかけています。目からは緑を、耳からは川のせせらぎを、鼻からは木々の香りを、皮膚からは風や湿度を、足の裏からは柔らかい土の感触を。こうした自然の刺激が、自律神経を少しずつ整えていくのです。
樹木が発している物質の作用
「フィトンチッド」という物質のことをご存知でしょうか。
フィトンチッドとは、樹木が放出している揮発性物質の総称で、もともとは植物が自分自身を細菌や害虫から守るために出しているものです。
森林の中へ入った瞬間に、「空気が違う」と感じたことはありませんか?あの独特の清々しさの正体の1つが、フィトンチッドです。
フィトンチッドには、脳波を安定させる作用もあることがわかっています。脳がリラックスしているときに出る「アルファ波」が増加し、精神的緊張がやわらぐのです。
「森林セラピー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。森林セラピーの研究では、2泊3日の森林浴によって、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が大きく上昇したことが確認されています。
NK細胞とは、ウイルス感染細胞や異常細胞(がん細胞)を攻撃する、免疫の重要な働きを担う細胞のこと。森林浴は、単に気分が良くなるだけではなく、身体の免疫機能を高め、防御システムそのものにも作用しているのです。

