中国のロボット開発が急速に進んでいる。100メートルを8秒64で走る機体が登場し、物流や工場でも実用化が進む。一方で、政治学者の伊藤隆太さんは「成長を支えているのは技術力だけではない。政府は開発支援だけでなく、導入補助や自ら買い手となることで需要まで下支えしている。さらに、一部企業では売り上げの持続性が上場審査で問われ始めている」という。中国ロボット産業の実像とは――。
急速に進歩した中国のロボット
2026年8月、北京で世界人型ロボット運動会が開かれ、人型ロボット「天工ウルトラ」が100mを8秒64で走った。
わずか1年ほど前には、走り出すだけでも苦労する機体があった。2025年4月、北京で開かれた人型ロボットのハーフマラソンでは、スタート地点で転倒し、数分間起き上がれないロボットや、数メートル走っただけで柵に衝突するロボットもいた。今や短距離走で8秒台を記録する機体まで登場したのだから、進歩は目覚ましい。
ただ、ロボットが速く走れることと、工場や物流の現場で人の代わりに働き、採算を取れることは別の話だ。中国では、産業現場への導入も急速に進んでいる。中国中央テレビ(CCTV)が7月に紹介した深圳の物流センターでは、ロボットの仕分け件数が半年で1時間当たり約100件から900件に増えた。作業効率は人による手作業の85%に達したという。
CCTVは、ロボットを物流センターの「スター社員」と紹介。将来、24時間稼働できるようになれば、夜勤の人手不足や従業員の過重労働を軽減できると期待を寄せている。

