上場審査で問われた「売り上げの中身」

産業を後押しする中国当局が、企業の資金調達には慎重な姿勢を見せている。

9月21日、ロイターは複数の関係者の話として、習近平政権の規制当局が非公式な指導により、一部の人型ロボット企業の上場手続きを抑制していると報じた。一律の上場禁止に関する正式発表があったわけではなく、中国証券監督管理委員会は同社の取材に回答していない。

報道によれば、当局が精査しているのは、地方政府が支援する事業から得た収入の持続性だ。ロボットに動作を覚えさせるデータ収集施設や、地方政府が初期投資の8〜9割を出す共同事業への販売が、一部企業の売り上げを支えてきたという。

先述のロイターの8月の調査報道が引用したアナリストの推計では、今年生産される人型ロボットの50〜70%は、こうした訓練施設に納められ、生産の現場で働く機体にはならないとみられる。

訓練施設にロボットを納め、代金を受け取れば、メーカーの売り上げになる。ただし、施設の整備が一巡した後も、同じ規模の注文が続くとは限らない。現在の売り上げが伸びていても、その勢いを将来の収益予測にそのまま当てはめられるかは別問題である。政府系の収入を除けば企業価値は60〜70%下がる、という試算を示すアナリストもいる。

上場が遅れれば、新株の発行で調達する予定だった研究開発費や設備投資の資金も、見込んだ時期には入らない。企業は手元資金で開発を続けるか、別の出資者や借入先を探す必要がある。

現場で使える製品へと改良するには、時間と費用がかかる。その間の資金を確保し、政府の育成事業以外にも顧客を広げられるか。技術の進歩とともに、企業として成長を続けられる根拠が問われている。

中国政府の建物
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150社超が競い、利益は残せるか

政府の支援に頼らない需要が育ったとしても、メーカーが利益を確保できるとは限らない。同じ市場を目指す企業が増えれば、価格競争も激しくなるからだ。

中国の経済政策を担う国家発展改革委員会は2025年11月、人型ロボット企業が150社を超え、半数以上が新興企業か異業種からの参入だと説明した。技術や事業の仕組みが成熟していない段階で、似た製品が集中して売り出されるリスクにも言及している。実際、雲深処科技(Deep Robotics)が2024〜25年の2年間に販売した人型ロボットは、ロイターの調査報道によれば4台にとどまる。

競争によって性能が向上し、価格が下がれば、購入する工場には追い風となる。これまで費用に見合わなかった作業にも、ロボットを導入しやすくなるだろう。

しかし、売り手にとっては、販売台数が増えても1台当たりの利益が減る可能性がある。しかも、ロボットは工場へ納めれば仕事が終わる製品ではない。深圳の物流センターの例が示すように、現場に合わせた調整や学習の積み重ねが必要だ。こうした対応にかかる費用も、販売や保守サービスの収入で賄わなければならない。

市場全体が広がることと、参入した各社が投資を回収できることは別である。価格を下げながら、改良や納入後の対応を続ける資金を残せるか。中国の人型ロボット産業を見る際には、出荷台数の伸びだけでなく、その売り上げからどれだけ利益が残るのかにも目を向ける必要がある。