中国が台湾侵攻を始めたら日本はどうなるのか。元陸上自衛隊戦車連隊長で軍事史研究家の木元寛明さんは「万が一、中国のAI搭載型ドローン100機が日本の南西諸島のいくつかの駐屯地を攻撃した場合、撃破手段を持たないため壊滅的な損害を受けるだろう」という――。
※本稿は、木元寛明『AIドローン戦争 現代戦を一変させる恐怖の兵器』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。
「九天」は時速700キロ、12時間以上飛ぶ
中国は台湾の武力統一をあきらめてはいない。
このための諸準備と各種施策を着々と講じている。無人機の近代化もこの一環だ。
中国の無人機は、西側の軍事大国同様に、著しい進歩を遂げている。軍事用無人機の分野では、手投げ式低高度無人機から中・高高度長航続無人機に至るまでの全シリーズをすでに保有している。
中国は想像を絶する数のドローンを生産し、しかも廉価で世界中に供給する。民間企業が年間数百万機から数千万機を生産し、個々の部品の価格、品質、量産性はどの国よりも卓越している。
中国の国営新華社通信は2025年12月11日、新型無人機「九天」が初飛行に成功したと報じた。報道によれば、「九天」は長さ16.35メートル、翼幅25メートル、ペイロード6トン、最大飛行高度1万5000メートル、最大飛行速度は時速700キロ、最大航続距離7000キロ、飛行時間は12時間以上だ。
自爆型ドローンを積んだ“空中空母”
「九天」の性能は、世界各国の無人機の中でもトップクラスといわれる。同機は“空中空母”として、約100機の自爆型小型ドローンなどを目標の近くから発進させることができる。
わが国の南西諸島防衛戦を考えるとき、島嶼守備部隊が遭遇するドローンのスウォーム(群れ)攻撃は、空中空母「九天」から放射されるAI搭載自律型ドローンが主体となると想定される。
「九天」は小型ドローンだけではなく、外部の8つの取りつけポイントに、1000キログラム級の誘導爆弾、空対空ミサイル、空対地ミサイル、対艦ミサイル、巡航ミサイルの搭載が可能だ。「九天」は単なる輸送機ではなく、多彩な任務を遂行できる無人戦闘爆撃機といえよう。


