「キャニスター弾」で対抗する案

解決すべき喫緊の問題は、島嶼配備部隊(平時からの配備部隊、即応機動連隊などの展開部隊)、およびこれらと一体となって戦う地対艦ミサイル発射機に対する、想定されるドローンのスウォーム攻撃にどう対処するか……だ。

本書の57ページで提案した即応機動連隊「ドローン中隊」の迎撃ドローンのみでは十分とはいえず、さらに複数の手段が望ましい。私は、早急に実現できる手段として、16式機動戦闘車の「105ミリ・キャニスター弾」を提案したい。

キャニスター弾を一言で表現すれば“散弾”だ。数には数をという発想だ。ナポレオン戦争当時、野砲の砲弾は球形弾、榴弾りゅうだん、焼夷弾しょういだん、散弾、榴散弾りゅうさんだんの5種類だった。

当時の野砲は密集隊形の敵歩兵を直接射撃した。

散弾は近距離用の対人弾で、密封されたブリキ缶に子弾を収めたものを「キャニスター」と呼んだ。散弾には大型の子弾を30~46個前後を収容する重散弾と、小型の子弾を60~120個前後を収容する軽散弾があった。

1784年にイギリスで発明された榴散弾は、鉄製の外殻に炸薬と多数の鉛球が詰められ、信管によって起爆すると、外殻の破片とともに鉛球が敵歩兵に降り注いだ。砲弾の中に含まれる鉛球の数は、散弾と同程度だった。

温故知新。

私自身にもキャニスター弾のかすかな記憶がある。

50年前は射程300~400mだった記憶

私が新品戦車小隊長だった1970年代初期、61式戦車が新戦車と呼ばれていた時代だ。北海道に駐屯する部隊を除く内地の戦車大隊は、米軍から供与されたM4中戦車、M24軽戦車、M41軽戦車を装備していた。

米軍供与戦車用に“キャニスター弾”という戦車砲弾があった。対歩兵用の弾薬で、原理はナポレオン戦争時代の散弾や榴散弾と同じだ。キャニスターに約1000個の球形子弾(パチンコ玉のような金属球)が入っており、目前に迫る敵歩兵の撲滅が狙いだった。

私自身は実際に撃ったことはなく、またキャニスター弾の実物を見たこともないが、当時の射撃教範――陸自は警察予備隊以来、米軍のマニュアルを翻訳した教範を教育訓練に使用していた――によれば、射程300~400メートル、散布幅30~40メートルくらいだったように記憶している。