100機のドローンに3000発をぶつける

戦後に開発した国産の61式・74式・90式・10式戦車は、戦車砲弾としてのキャニスター弾を開発し、装備したことはない。

一方、米陸軍は、120ミリ戦車砲弾としてのキャニスター弾を、以前と変わりなく今日も装備している。16式機動戦闘車の105ミリ戦車砲は、74式戦車の砲弾が発射できる。備蓄されている105ミリ粘着榴弾をキャニスター弾――球形子弾1000発、射程500メートル、散布幅50メートル――として改修すれば、ドローンのスウォーム攻撃の有力な対抗手段として効果的であり有望だ。

ドローンの最大飛翔速度を時速70~140キロに想定すると、ドローンは500メートルの間を10~20秒で到達する。この間、16式機動戦闘車がキャニスター弾を5秒間隔で装填すれば、ドローンに対して3発前後発射できる。

仮に、100機のドローンがスウォーム攻撃してきた場合、機動戦闘車1両がキャニスター弾を3発発射すれば、およそ3000発の球形子弾をぶつけることが可能だ。

キャニスター弾は電子戦にも強い物理的手段の極みであり、対スウォーム攻撃の切り札となる予感もあり、実現を強く希望するものだ。

ABM(エアバースト)弾という、目標の直前で破裂して多数の子弾を放出する、中口径(30~40ミリ)の弾薬がある。榴散弾の流れをくむ弾薬で、擲弾発射筒から発射すれば、野戦部隊の対ドローン自衛火器として有効だ。

現地の自衛隊を見殺しにしていいのか

南西諸島の防衛拠点がドローン攻撃の好目標になることを避けるためには、現時点で国内法を改正して、有事切迫時から陣地構築などが可能になるように、自治体や住民に周知徹底することだ。このことを直ちに実行しないと、現地に展開する自衛隊を見殺しにすることにつながる。

軽量の軍用ブーツで立っている兵士
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先ほど提示した、ドローン迎撃の有効な対抗手段となり得る「105ミリ・キャニスター弾」も、近距離ロケット型の「テラA1」も実在しない。島嶼展開部隊は、ドローンを撃退する手段を、個人携帯型地対空ミサイル「スティンガー」以外、ほとんど持たないというのが現状だ。

攻撃側は攻撃の時期・場所・規模・手段など選択の自由があるが、防御という戦術行動にはこの自由がない。

すべてを守ろうとしてあらゆるところに部隊を配置すると、局所ごとの相対戦闘力の差が大きくなり、結果的にはあらゆるところで負ける。「すべてを守るものは、すべてを失う」(孫子)という箴言の通りだ。