国立がん研究センターによれば、「大腸がん」は日本人が最も多くかかるがんだ。内科医の奥田昌子さんは「初期の段階で見つけて適切な治療ができれば、ほぼ助かる病気だ」という。早い段階で異変を見つけるには、どのような検査をすればいいのか。ライターの黒島暁生さんが、奥田さんに取材した――。(第2回)
腸の模型
写真=iStock.com/manassanant pamai
※写真はイメージです

大腸がん「初期の状態」で検査を

日本において、罹患率、死亡者数ともに上位に君臨する、大腸がん。毎年5万人以上がその生命を落とす恐ろしい病気だ。だが内科医で大腸がんに詳しい奥田昌子さんによると、「初期であればほぼ助かる」のだという。適切に大腸がん検査を行い、早期に発見するためには、何をしたらいいのだろうか。奥田さんに話を聞いた。

日本において、大腸がんで命を落とす人の数は多い。国立がん研究センターの「がん統計」によると、大腸がんの最新データは罹患数15万人超(2023年)、死亡者数5万4000人超(2024年)となっている【1】。この数字は、罹患者数としては第1位、部位別死亡者数としては女性で第1位、男性で第2位(第1位は肺がん)である【1】。大部分の人たちが大腸がんを“死に近い病”として認識していることだろう。

くわえて、残念なことに、今年に入ってから著名人が大腸がんで命を落としたとの訃報に接する機会も多かった。7月には作家の東野圭吾さんが68歳で、9月には俳優の中村ゆりさん(直腸がんと発表)が44歳で亡くなったと報じられた。不治の病のイメージはかなり根強い。

もちろん大腸がんが脅威であることは疑いようがないが、奥田さんは「食生活や運動習慣を変えて予防したうえで、適切に検査を受けることで、初期であればほぼ生命を救える」と言い切る。奥田さんの話に耳を傾ければ、大腸がんに抱くイメージはやや変わってくる。

「便潜血検査」をやってほしい

「私が『とにかく早期に検査をしてほしい』と声を大にして言うのには理由があります。大腸がんは、初期に発見できれば非常に予後のいいがんなのです。ステージIの5年生存率は9割を超えており、ステージIIでも85%超あります【2】。初期であれば内視鏡で取り除くことが可能ですし、お腹にごく小さな穴を開けて手術をすることもできます。どちらも、社会生活に大きな影響を残さず、もちろん生命も救うことができるんです。

しかし臨床現場に立っていると、『お尻から血がポタポタ垂れたけど、痔だと思って放っておいた』『怖くて病院に来られなかった』と話す人が少なくありません。『がんだと診断されたら怖いから』という心情は理解できますが、大腸がんは、放置をするほうが怖いことをぜひ知っていただきたいと考えています」

それでは、大腸がんはどのようにして発見に至るのか。大腸がんを鑑別する方法として、便潜血検査、大腸内視鏡検査、大腸CT検査、腫瘍マーカーなどが一般的に知られる。また近年では、線虫を使ってがんを発見する手法が提唱されることも多い。テレビCMなどで流れているのを見たことのある人も多いだろう。

このなかで、奥田さんは「一次検査としては、便潜血検査がもっとも有効だと私は考えます」と話す。